城郭襖絵「梅に鴉の図」の謎 福岡と雲谷派 城郭襖絵「梅に鴉の図」の謎
謎は、解き明かせるか。
  ◆観覧料:本展は常設展示観覧料でご覧になれます。 一般200円(150円)、高大生150円(100円)、小中生無料 
  福岡市発行のシルバー手帳および北九州市発行の年長者施設利用証・療育手帳・身体障害者手帳・
  精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は無料。( )は20名以上の団体料金。
◆お問い合わせ:福岡市美術館 〒810-0051 福岡市中央区大濠公園1-6 TEL 092-714-6051 FAX 092-714-6145
◆シンポジウム:2009年2月1日(日)午後2時より 詳細は下記をご覧下さい
重要文化財「梅に鴉図」(京都国立博物館)は筑前名島城(福岡市東区)の襖絵で作者は雲谷等顔(1547〜1618)と伝えてきました。名島城は小早川隆景の居城として天正16年(1588)から築城されました。雲谷等顔は雪舟の後継者と称する画家で、京都や山口で活躍し、桃山画壇に重要な位置を占めます。この襖絵はすべて金地の画面で、墨で大きな梅の木とその長く伸びた枝にカラスが数羽たたずむという非常に静寂間あふれる印象深い大画面の作品です。しかしながら、この絵にはいくつもの謎があります。この展覧会を通して、その謎をご一緒に解いてみたいと思います。
謎一、作者は雲谷等顔か? ながく雲谷等顔作とされてきましたが、近年、そうではなく等顔の息子雲谷等益(1591〜1644)の作とする説がとなえられました。
等顔の「叭々鳥図屏風」(京都・龍光院)と等益の「烏図屏風」(京都・金地院)を展示して両者の絵の違いを見ていただきます。
 
謎2、筑前名島城の襖絵か? 謎3、福岡城本丸御殿梅の間でどのように使われていたか?
  雲谷等益の作とすると天正後期(1590年前後)に築城された名島城での制作は年齢的にむずかしく、伝承は事実に反することになります。「名島城本丸御殿間取図」(九州大学日本史学研究室)を見ていただき、名島城本丸のようすを想像していただきます。   黒田氏が筑前に入国して築城した福岡城(中央区)にこの襖絵が飾られていたことが、尾形家絵画資料(福岡県立美術館)の縮図でわかります。「福岡城本丸御殿間取図」(福岡市博物館)には梅の間での襖の取り扱いを図示しています。
「梅に鴉図」襖でこの部屋の壁三面を構成していたようです。
 
謎4、なぜ金地に墨絵か? 謎5、梅は着色の部分もある。
  大型の襖の金箔を貼った画面に墨で枝が横にのびた大樹の梅を描き、そこへカラスを数羽とまらせるというわずかの主題ですが、大きな画面に金に墨の対比が印象深い作品です。金地に水墨画を描くのは17世紀後半以降に盛んになる描法です。   よく見ると梅の幹や枝には雪や梅の花が描かれています。墨の部分だけで判断するといかにも枯木のような印象がありますが、実は雪がはっきり描かれて、そのなかに可憐な梅の花を添える情趣もあったようです。  
謎6、現状の襖はもともとの姿ではない。 謎6、襖6面だけでほかには関係の障壁画は無い?
  現在の画面はもとは別の部分を貼り合わせています。
しかし、引き手は黒田家で江戸時代早期に使われたものだそうです。すると早い時期に別の襖などから今の状態に作られたものだと考えられます。
  この襖は近代になって黒田家より国へ譲渡されたものですが、ほかに福岡市へ寄贈された黒田資料にも関係の絵や文書は見当たりません。九州においても熊本城本丸の障壁画は部屋ごとに画題が決められ、計画的に描かれていますが、「梅に鴉図」はそうではなく、おそらく独立した襖絵だったと思われます。  
出品作品
  「梅に鴉図」重要文化財(京都国立博物館)/「叭々鳥図屏風」雲谷等顔筆(京都・龍光院)/「鳥図屏風」雲谷等益筆(京都・金地寺)
「名島城本丸御殿間取図」(九州大学日本史学研究室)/尾形家絵画資料(福岡県立美術館)
「福岡城本丸御殿間取図」(福岡市博物館)/「蕭々八景図屏風」(龍光院)
「『欠伸稿』4冊のうち1江月宗玩(龍光院)/「山水図屏風」雲谷等益筆(岡山県立美術館)
「山水図屏風」雲谷等顔筆(個人蔵)/「樹下人物図屏風」雲谷等顔筆(個人蔵)/「梅に月図屏風」(個人蔵)
「嶋井宗室像」雲谷等顔筆 江月宗玩賛(個人蔵)福岡市指定文化財
「嶋井宗室像」雲谷等顔筆 江月宗玩賛(福岡市博物館)福岡市指定文化財/「名島城図」(九州大学日本史学研究室)
「福岡城本丸御殿間取図」(福岡市総合図書館)/「福岡城本丸図」(福岡市博物館)
シンポジウム
 

「梅に鴉図」の謎は解けるか ?! ー建築史、考古学、歴史学、美術史学の視点から
 筑前名島城の襖絵と伝える「梅に鴉図」は近年、美術史の研究者からこれまで伝えられてきた雲谷等顔の作ではなく、その子である雲谷等益の作で、名島城の襖絵ではないと言う説が出されました。
 このことを検証すべく、現在の福岡において、名島城や福岡城といった「梅に鴉図」が置かれたであろう建築、そして、その遺跡、歴史について、美術史以外の専門の研究者を含めて、本図をどのように位置づけるのが適当であるか、パネリストの方々にそれぞれの見地を述べていただき、「梅に鴉図」の謎が解明されればと考えます。

日時: 2009年2月1日(日) 午後2時より 2時間程度
会場: 福岡市美術館 講堂

パネリスト:
木島孝史氏(九州大学建築史研究室)
高山英朗氏(福岡市博物館)
榎本義嗣氏(福岡市教育委員会文化財部)
福田善子氏(九州大学大学院)
コーディネーター:渡邊雄二(福岡市美術館) 

入場無料

申し込み方法:往復はがきに聴講を希望される方全員のお名前、代表者のご住所、お電話番号をお書きのうえ、下記宛先までご送付ください。
締め切りは 2009年1月20 日(火)です。応募多数の場合は抽選いたします。
宛先:〒810-0051 福岡市中央区大濠公園1-6 福岡市美術館「福岡と雲谷派シンポジウム係」
お問い合わせ:電話 092-714-6051