抽象的な籠
1964年

藤野一友(1928/東京-1980/東京)
油彩・画布 162.5×131.0cm
 30代半ばで病魔に冒され、絵筆を絶たれた藤野一友の短命な画業は、人間の意識下の非合理性に着目した芸術運動、シュルレアリスムに基づく幻想的作風により貫かれています。藤野の画歴の終盤にあたる本作品では、手術台のような寝台に横たわり、恍惚の表情を浮かべて眠る裸婦が描かれています。昇る朝日に照らされたその肉体の空洞の中には、無邪気だが残酷な子供の姿や、黒服の男と裸の女の淫靡で冷酷な不条理劇の様が見えます。美しい裸婦の中に人間の隠れた情念をクールにかつエロティックに描いた本作品は、短い画歴の中で藤野が辿り着いた一つの到達点を示します。

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