見どころ

1章 絵画

黒田家の美術を代表するジャンルは絵画である。中国絵画や狩野派など、家の格式を示す調度としての作品はもちろん、「泰西風俗図屏風」(重要文化財)をはじめ「韃靼人狩猟図屏風」、狩野探幽「獺図」など、絵画史からも注目される個性派や、「菊花図巻」、「鵞鳥図」など18世紀の博物学的世界の広がりと藩主の趣味を反映したもの、また婦女子のための物語絵巻まで、時代も幅も豊かな世界を形作っている。

獺図 狩野探幽 江戸時代
獺図 狩野探幽 江戸時代
百鳥図 伝・辺文進 明時代
竹取物語(部分) 江戸時代

2章 書跡

黒田家にとって最も重要な古文書群は、すべて福岡市博物館に移管されたが、藩政史とは直接関係の少ない書跡作品が美術館に残っている。ここでは、官兵衛・長政父子と関係が深かった大徳寺・江月宗玩の墨蹟をはじめ、「源氏物語系図」(重要文化財)や、いずれも室町時代の写本である「和漢朗詠集」、「新古今和歌集」、「伊勢物語」など、文芸への嗜好を物語る作品を中心に選んで展示している。

紺紙金字能淨一切眼疾病陀羅尼経(部分) 朝鮮王朝時代
源氏物語系図(重要文化財)(部分) 伝・九条良経 鎌倉時代

3章 工芸

唐物茶入 銘「博多文琳」をはじめとする茶入に名品が並ぶのは大名家ならではだが、大型の鋏箱や広蓋などの豪華な漆器類も見所である。また微細を極めた印籠の美しさや、どのように掘り出していったのか不思議に想うほど精巧な鼈甲製の簪飾りなど、江戸時代の工芸技術の高さに驚かされる。そして長政所用と伝える「金襴軍袍(亀甲地文牡丹唐草金襴)」は、きらめきの大名道具を象徴する名品である。

唐物茶入 銘「博多文琳」 明時代
藤巴桐紋露置薄文蒔絵鋏箱 江戸時代
金襴軍袍(亀甲地文牡丹唐草金襴) 桃山時代
自在 蟹 江戸時代
尽鼈甲花笄飾り 江戸時代
藤棚に蝶鼈甲花笄飾り 江戸時代
桜瓢箪瀧字鼈甲花笄飾り 江戸時代

展覧会図録

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価格:1,800円(税込み)

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