©Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2017
C1306
ポルト・リガトの聖母
1950年

サルバドール・ダリ
(1904/スペイン-1989/スペイン)
油彩・画布 
275.3×209.8cm
 1920年代にヨーロッパに起こり、夢や無意識に潜む人間の非合理的な欲望に注目したシュルレアリスム運動。その代表的な画家として知られるダリだが、戦後は運動から遠ざかりつつ、ヨーロッパの古典絵画への回帰を唱えた。一方、原爆投下にも衝撃を受け、原子物理学への関心を深めていった。本作品は、ダリのこうした戦後の新しい展開を示す重要な作品である。伝統的なキリスト教的図像を多く引用しながら、ここではあらゆるものが浮遊し、また祭壇は原子核構造と重なる。だが、この作品をいかにも「ダリ的」にしているのは、聖母マリアがダリの愛妻ガラに置き換えられていることであろう。あるいは、ダリは、核の恐怖に支配された世界ではもはや「神」など存在せず、ただ創造の源泉である愛妻ガラだけが信ずるに足るものだ、と言いたかったのかもしれない。
 


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