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福岡市美術館ブログ

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教育普及

福岡市美術館の「ぬりえ」ダウンロードしませんか?

新型コロナウィルス感染症のために、福岡市美術館も休館中です。その間、私たちが何をしているかというと・・・開館に向けての準備を粛々としています。よく考えれば年度末。新年度に向けての展示や印刷物制作、発送など意外にやることはあるんですよね。とはいえ、美術館が開いていないって寂しいものだなぁ、早くこの事態が収まらないかなぁ、と思う日々です。

さて、新型コロナウィルスのためにいろいろ予定が狂ってしまったのは、美術館だけでないですね。特に、急に休校になってしまった子どもさんたちは、おうちでどうやって過ごしているのかぁ、と思います。そこで、子どもたちのために何かできること・・・例えば、おうちでできる美術館体験はないかしら?と過去のワークショップなどなどの資料を探してみました。これは使えるかもと思ったのが、ささやかですが、福岡市美術館の「ぬりえ」です。実は、この「ぬりえ」、毎年、秋に開催する「ファミリーDAY」で使っている、当館所蔵作品をもとにした私たちの手作りのもの。一見シンプルな図案ですが、どんな色をぬるか、あなた次第で劇的に変わりますよ。兄弟姉妹で、あるいは家族でぬりくらべてみてもおもしろいと思います。もちろん、大人の方にも楽しんでいただければ、さらに嬉しいです。このページの下にPDFを置いていますので、ダウンロードして使ってみてください。

どうしても実物の色が知りたい!という方は、福岡市美術館のホームページの所蔵品検索で検索してみてくださいね。

所蔵品検索 https://www.fukuoka-art-museum.jp/archives/

 

▽作品タイトルをクリックするとPDFが表示されます。

※全て「古美術」作品です

 

(主任学芸主事 教育普及担当 鬼本佳代子)

コレクション展 近現代美術

時間をかけて見つめよう

1970年代末から90年代にかけて多くの作品を手掛けた渡辺千尋(1944-2009)のエングレーヴィング作品を近現代美術室Bで展示中です。

エングレーヴィングは、ビュランと呼ばれる鉄の刃物を用いて銅の板に細かな溝をつけ、インクを詰めて刷る凹版の一種です。日本の紙幣も用いられている、慎重さと集中力が必要な技法を駆使した渡辺千尋作品。「超絶技巧」の絵画とも言えますが、それだけで片付けられるものではありません。例えば、《風の遺跡》という作品。遺跡のような構造物のなかに無数の線が引かれており、よく見ると人間の体や植物の様々な形が浮かび上がってきます。私はこの作品にこちらを向いている顔を見つけたとき、時を超え、作家と目が合ったような感触を得ました!緻密に作りこまれた渡辺の作品は、息をひそめて見つめられるのを待っているかのようです。

 

左:会場内にはルーペを置いています 右:展示風景

渡辺作品は時間をかけて見つめることでより深い意味を読み取ることができるのですが、実は「見ることを通した作家との対話」は彼の文筆活動にも通じる姿勢です。

『殉教(マルチル)の刻印』(2001年)は故郷である長崎県南高来郡有家町に伝わるキリシタン銅版画《セビリアの聖母》を復刻した際の経緯を綴ったルポルタージュです。《セビリアの聖母》は、日本で初めて制作された銅版画の一つで、1597年に26人がキリシタン弾圧によって殉教したその年に彫られたものです。渡辺氏は、制作の背景を理解するために26聖人のたどった京都から長崎・西坂までの道のりを徒歩で踏破し(!)、その後に模刻を行います。作業をする過程で、渡辺氏はイメージのもとになったスペインにある壁画や、中国に伝わる別のバージョンの版画にあったはずの鳩が消えていることを発見し、ここから、キリシタンであった作者がある心境の変化を迎え、手を加えたことを推察します。渡辺氏は、あくまで銅版画家の一意見だ、として、自身の考察が適当かどうかは保留していますが、真摯に作品を見ることで導き出した解釈には説得力が宿っています。

渡辺千尋『殉教(マルチル)の刻印』小学館、2001年

展示室で、「この作品のメッセ―ジは何ですか?」と聞かれることがあり、自分もまた、1つの正解を探すようにしてものを見てしまうときがあります。「作品の解釈は無限に開かれていて、答えは無限!」とは思わないのですが、まずは目の前の作品をじっくりと見て、それが発するものを受け止めることが第一歩なのでした。渡辺千尋作品はそんな姿勢を改めて教えてくれます。

渡辺千尋展は、4月19日(日)までです。是非お見逃しなく。

(学芸員 近現代美術担当 忠あゆみ)

コレクション展 古美術

茶道具を入れた箱を入れた箱を入れた箱を入れた箱を入れた箱

茶碗にしろ、茶入(ちゃいれ)にしろ、古い茶道具の価値をつくるのは、モノ自体に備わる美的魅力だけではありません。その魅力に惹かれ、大切に守り、次代に継いできた人々の思いの積み重ねでもあります。

ある茶道具を大切に守るために作った箱を、次の所有者がその箱ごと守るために新しい箱を新調する。さらに次の代の人も…、そうして受け伝えられた結果、茶道具を守る箱は、マトリョーシカのように入れ子式になることがあります。箱以外にも、茶道具を直に包む袋やその替え、歴代の所有者や鑑定家が記した書き付け等、あらゆる付属物が伴います。それらを総称して「次第(しだい)」と呼びます。

現在、松永記念館室で開催中の「茶道具の『次第』」展は、松永耳庵旧蔵の茶道具の中でも特に次第が充実した茶道具を選び、伝来の紹介とともに、次第まるごと展示する試みです。

普段は最大20件は陳列できる展示室が、今回は6件で一杯になりました。

目玉といえば《唐物肩衝茶入 銘「松永」》(中国・明時代)。戦国武将・松永久秀が所持したことに由来する名物茶入です。片手のひらに収まる程度の小さな陶器を、五重の箱が守っています。一番外側の箱は、本器に付属する盆を守る三重箱も一緒に収めるため、両手を広げて抱えるくらいの大きさになっているのです。そうです、冒頭のタイトルは、それを分かりやすく?表現したものです。

展示作品は、まず作品本体を置き、続いて本体に近い付属品から順番に、内箱から外箱へ整然とわかりやすく配置しました。箱の蓋は殆どすべて、開いた状態にしました。蓋というのは、閉じていれば開けたくなるし、開いていれば閉じたくなるもの。開いた状態で展示すると、展示空間が全体に雑然としてしまうデメリットがあるのですが、何はなくとも箱内をご覧いただけることと、茶道具を袋に包み、幾重もの箱に収めてゆくプロセスをより実感をもって辿っていただけるのではという思惑から、あえてそうしました。同時にその実感が、代々の所蔵者たちが道具に込めた愛情を追体験することにも繋がれば幸いです。

ある茶道具が、いかに過去から大事にされ、価値が高められてきたかを眼で見て実感していただける内容です。4月12日(日)までです。是非ご来場下さい!

(主任学芸主事 古美術担当 後藤 恒 )

茶入「松永」の次第を一挙陳列!画面に入りきらない…

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