2023年6月28日 18:06
2階の近現代美術室は、6月12日から21日まで展示替作業のため閉室していましたが、22日(木)より新しい展示が始まっています!
今回のブログでは、私が担当しました、近現代美術室Aの前半とCでおこなっている「コレクションハイライト」についてご紹介いたします。
まず、近現代美術室Aの前半は、「コレクションハイライト① 福岡市美術館のスターたち」です。福岡市美術館の近現代美術の所蔵作品のなかから、選りすぐりの作品、コラン、シャガール、ミロ、デルヴォー、ダリ、ウォーホル、バスキア、草間彌生の9作家10点を展示しています。まずは名作ぞろいの濃密な空間を味わっていただけたらと思います。入った瞬間から、作品がもつパワーに圧倒されるはずです。
*「コレクションハイライト① 福岡市美術館のスターたち」(近現代美術室A)
近現代美術室Cは、「コレクションハイライト② 美術散歩にでかけよう」です。
難しいととらえられがちな近現代美術ですが、気軽な気持ちで向き合ってもらえたらと思い、企画したものです。所蔵作品を、テーマごとに4つの場所(「現実と夢の森」、「物質と感覚の海」、「色とかたちの宇宙」、「歴史と記憶の都市―未来へ」)にみたてて展示しています。作品は、ゆるやかに時代順に並んでいますので、20世紀以降の美術の流れをたどることもできます。コーナーごとに雰囲気が全く異なる空間となっており、感覚的に楽しめる展示となっていますので、ぜひぜひ体感していただければと思います。
*「コレクションハイライト② 美術散歩にでかけよう」(近現代美術室C)
さて、ブログですので、担当者の生の話をお伝えしておきます。
この「コレクションハイライト」は、その名のとおり、美術館を代表する作品を一堂に集めて展示する、という趣旨でおこなっています。毎年5-6月頃に内容を一新し、約1年間ご覧いただくことになります。
通常コレクション展というと、担当学芸員は、自館のよく見知った作品から選んでいくわけですが、私は、福岡市美術館に異動して1年と少し。企画展や新しい事業を担当していたため、所蔵品とゆっくり向き合う時間があまりとれていませんでした。そんな状態で、この責任重大な「コレクションハイライト」を担当することになり、かなりのプレッシャーを感じました。
当館の近現代美術の所蔵品は1万2千点。その概要を把握するだけでも大変な仕事です。そこからテーマを設定し、展示プランを作りこんでいかないといけません。まずは、データベースとにらめっこしながら、気になる作品に印をつけるところからはじめ、作品の画像を確認したり、作家について調べたりしながら、候補作品をしぼっていきました。
ある程度作品がしぼれてきたら、展示室の図面に画像を落とし込んでいきます。この作品とこの作品をならべたらおもしろそう、といった感覚的なことを起点に、歴史的な流れをふまえて、肉付けをしていきました。ああでもないこうでもないと、作業をくりかえすことで、データベースの作品たちが、自分の頭の中にしっかりと入っていくようになり、新たなアイディアがうまれていきます。
一方で、収蔵庫で作品を確認すると、想像以上に作品が大きく(サイズは事前に確認しているのですが)、うまく壁におさまらないのではないかと不安になることも。実際に展示室に作品を並べた後に、しっくりこなくて、展示順を変更した箇所もありました。
さて、そのできあがりですが、当初の不安とは裏腹に、なかなかいい展示になったのではないかと自負しています(個々の作品がよいので、悪くなりようがないともいえますが)。ぜひ足を運んでいただき、美術散歩を楽しんでいただければと思います!
(近現代美術係長 山木裕子)