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コレクション展 近現代美術

オチ・オサム展、開幕!

  近現代美術室A・Bで「オチ・オサム展」が開催しました。(~3月24日)
 オチ・オサム(1936-2015)は、前衛美術グループ「九州派」の創立時からのメンバーであり、日用品を用いたオブジェから緻密な絵画まで、晩年まで幅広い作品を手掛けた美術家です。
 福岡市美術館では、「九州派」の一メンバーとして、度々オチさんの活動を紹介し(「九州派―反芸術プロジェクト」1988年、「九州派展」2015年など)、近年の作品も折に触れて紹介しています。全国4館を巡回した当館のコレクション紹介展「モダン・アート再訪」(2018年)では、《球の遊泳Ⅱ》が展示され、多くの方に知られるきっかけとなりました。
 しかしながら、回顧展という形で画業を見渡す展覧会は今回が初めてです。今回の「オチ・オサム展」では、作家の全体像を紹介するべく、初期から最晩年まで、180点超の作品と資料を展示しています。貴重な初期絵画作品や、九州派時代の代表作であるオブジェ《出口ナシ》をご覧いただくとともに、ライフワークであった球体を描いた絵画群(球体シリーズ)、晩年の作品も紹介します。1970年以降、油彩画に本格的に取り組みはじめ、色とりどりの球体を描くようになるまでのオチの画風の変遷は、今回初めて明らかになるものです。

展覧会入り口

 思えば、作家のご家族に、展覧会開催のご挨拶をしたのは、2年前の1月のことです。生前のオチさんにお会いすることができなかった私は、当初、球体シリーズの緻密な画面から、クールで理知的な人物像を想像していました。しかし、月1回のペースでお宅にお邪魔し、間近で作家を見つめていたご家族の話を伺ったり、アトリエに保管されている作品、アルバムや新聞記事のスクラップなどの資料を見せていただくと、その印象は徐々に変化していきました。オチさんは、何気ないものに美しさを見出す感性を持ち、それを形にする行動力を携えた人物でした。本展第3章には、1966年代の渡米後の作品を展示していますが、球体シリーズというライフワークを見出してから作家が残した作品は圧倒されるほどのヴォリュームで、描くことに突き動かされていたことが感じられます。今回展示できた作品・資料はごく一部ですが、オチさんの創作意欲がきっと感じられるのではないかと思います。

第3章の入口

第3章の一部

 オチさんは、「九州派」の仲間であった菊畑茂久馬さんや桜井孝身さんのように、自らの作品や活動を言語化するタイプではありませんでしたが、新聞や雑誌での取材の際には、魅力的な言葉を残しています。今回の展示にぴったりなのが下記の言葉です。

 「大きなものにも魂は一つ、小さなものにも魂は一つ。小さなものの魂を描きたい。
死ねばしゃべれん。きちんと仕事ばして絵でしゃべり尽くしたい」
「人・仕事 自主企画で美術展/文化をつくる母体めざす」

([誌名不明]1976年より)

 展覧会の前に、オチさんが何を考えていたのか、作品についてどう思っていたのか、私も直接にインタビューしてみたかった…。しかし、この言葉を自分なりに解釈すると、色とりどりの球体を描くこと、あるいは多様な作品を作り続けることは、オチさんにとって、自分の「魂」を肯定する作業であったのかな、と思っています。
 ご来場のみなさまも、展示室で、ぜひ作品を通したオチさんとの「おしゃべり」をしてみてはいかがでしょうか。

※オチ・オサム展の開幕と同時に、下記の2会場でもオチ・オサム展が開催されています。この機会に、市内でオチ展巡りをしてみてはいかがでしょうか。

・「オチ・オサム展 言葉の前にⅡ」 
会期:1月24日(水)-2月25日(日)
13:00-19:00(月曜-水曜休)
会場:EUREKA エウレカ(福岡市中央区大手門2-9-30-201)
https://eurekafukuoka.com/2058/

・「オチ・オサム展」 
会期:1月24日(水)-2月13日(火) 
岩田屋の営業時間に準じる
会場:Gallery CONTAINER ギャラリー・コンテナ
(福岡市中央区天神2丁目5番35号 岩田屋本店 本館2階)
 https://www.iwataya-mitsukoshi.mistore.jp/iwataya/shops/art/artgallary/shopnews_list/shopnews028.html

詳しくは各会場のホームページをご覧ください。

 

(近現代美術係 忠あゆみ)

 

 

 

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