2019年7月2日 19:07
リニューアル工事のため、2年ほどお休みしていましたが、古美術企画展示室ではいよいよ田中丸コレクション展がはじまりました。(7/28まで)
その間、「絵唐津あやめ文茶碗はいつ見られるのか?」と多くの方からお問い合わせをいただきましたが、ようやく展示することができました。
開催中の田中丸コレクション展は、唐津焼と高取焼をテーマに福岡市美術館の所蔵品を含めた合計52件を展示しています。
今回、はじめての試みとして、唐津焼と高取焼を生産した〝窯跡〟を表記し、地図上でその〝窯跡〟の場所が確認できるよう古窯跡分布図をパネルにしています。「唐津焼古窯跡分布図」は河川や当時の街道を記したもので、意外なことにこれまで作成された唐津焼の古窯跡分布図にはなかった地図なのです。
この地図によって〝窯跡〟というのは、川沿いにある程度まとまって築かれ、街道近くに集中していることがわかります。当時はこうした街道を通って唐津焼の製品が続々と港へ運ばれていたのだなぁ、などと往時を偲びつつ、唐津焼を立体的な視点で鑑賞していただけるのではないかと思っています。
この「唐津焼古窯跡分布図」は、唐津市教員委員会の陣内康光さんに心良くご提供していただいたものです。この場を借りて御礼申し上げます。
ところで福岡市美術館のリニューアル工事に伴って、古美術企画展示室も黒と白を基調としたモダンな展示室に改装されているのをご存知でしたか?
展示ケースの照明が、色や明るさを自由に調節できるようになり、ガラス越しとはいえ焼物本来の微妙な質感や釉調を感じられるようになっています。
以前にも増して、田中丸コレクションの器がとても鑑賞しやすくなっていますので、ぜひ足をお運びください。
(一般財団法人田中丸コレクション 学芸員 久保山炎)