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みんながスマイルになった「めぐる季節のアートバス スマイル茶会へようこそ」

 12月になってすっかり冬!という気候になりましたね。今年も残すところあとちょっとになってしまいました。慌ただしく過ごされている方も多いのではないでしょうか。
 さて、ちょうど急に寒くなった先月末の11月30日、実は、九州産業大学美術館と「めぐる季節のアートバス スマイル茶会へようこそ」というコラボ企画を開催しました。この企画は、令和4年度文化庁Innovate MUSEUM事業の補助金により実現しました。
 簡単に内容を説明すると、九州産業大学美術館が近隣にお住まいの高齢者の方々を募集し、バスツアーを仕立てて福岡市美術館まで出かけ、コレクション展を鑑賞し、さらに、「スマイル茶会」を体験してもらうというものでした。「スマイル茶会」は、アーティスト・オーギカナエさんが2017年から行なっているもので、オーギさんが生み出すにっこり笑った黄色いオブジェ「スマイル」とお茶とお菓子が人と人をつなぐワークショップでありパフォーマンスです。そして、オーギカナエさんと言えば、当館のキッズスペース「森のたね」の制作者であり、地元福岡県在住のアーティストです。

広島市現代美術館で行われた「スマイル茶会」。

 福岡にお住まいの方はわかるかと思いますが、九州産業大学美術館から当館まではちょっと距離があり、交通もものすごく便利とは言えません。みんながみんなそうではないでしょうが、高齢の皆さんにとっては、ちょっと頑張らないと行きにくい距離・立地といえます。バスの送迎があれば気軽に行くことがかないますし、そして来てもらう側としてはせっかくなら作品鑑賞に加えて、美術についての特別な体験をしてもらいたい、ということでこの内容となりました。オーギさんも、それはステキ!と快く引き受けてくださいました。

 ところが肝心の開催日の前日、つまり準備の日は雨。しかも本番当日は急激に冷え込むことが予想されました。実は、当初は当館の中庭に設えをしてお抹茶とお菓子をお出しする予定だったのですが、この悪天候を受けて予定を変更!中庭には、お茶会の設えではなく、オーギさんによる「スマイル」のインスタレーションを施すことにし、お抹茶とお菓子はレクチャールームでお出しすることにしました。パンチカーペットを敷き、黄色い風船を天井につけ、あちこちに「スマイル」のオブジェが据えらえると、レクチャールームが、すっかりお茶会のための空間に変身です。

準備ができたレクチャールーム。すっかりお茶会の場に。

中庭にもスマイルが出没。

 そんなハプニングもありながら迎えた当日の朝。九州産業大学美術館・学芸室長の中込潤さんと学芸員の福間加容さんとともに、参加者の皆さんがバスに揺られてやってきました。到着後、自己紹介もそこそこに、さっそく参加者の皆さんには、5つのグループにわかれ、当館のコレクション展鑑賞、オーギさんによるお茶会、中庭で柚子茶を飲みながらの作品鑑賞を、順に体験して頂きます。コレクション展鑑賞は、当館のギャラリーガイドボランティアが担当しました。
 お茶会では、参加者の方々にまずは椅子に座っていただき、オーギさんがご挨拶。最初に、香合に入れたクロモジの香りを楽しんでいただきます。その後、お菓子が配られますが、なんと、お菓子の中にスマイルの顔が!「こりゃ可愛くて食べられんね」と言いながら大事そうに持って帰られる方もいらっしゃいました。そして太宰府の「和菓子調製處・藤丸」の藤丸阿弥さんがお茶を点ててくれます。お茶を点てている間に、窓から見えるインカ・ショニバレCBE《ウィンド・スカルプチャー(SG)Ⅱ》の解説を、僭越ながら、私がさせていただきました。最後に藤丸さんがお茶とお菓子の説明をしておしまいです。それほど長い時間ではないはずなのに、なぜかゆったりとした温かな時間が流れ、皆さんニコニコとして次の体験へと部屋を後にされました。

左がオーギカナエさん。着物を着ているのが藤丸阿弥さん。

お菓子にもスマイルが!

九州産業大学茶道部の皆さんが藤丸さんをサポートしてくれました。お運びは当館の博物館実習生が担当しました。

 

 その頃、別のグループはというと、中込さんに柚子茶を振る舞われ、普段は入れない中庭で、作品を間近に見て、当館の﨑田明香学芸員の解説に耳を傾けていました。

柚子茶で暖まりながら作品鑑賞

 さらに別のグループはというと、当館のボランティアさんたちが、参加者の皆さんとおしゃべりをしながら、コレクション作品を紹介していました。

ボランティアさんたちが、推しのコレクション作品をご紹介。

 この3つの体験を終えて集まると、気がつけば、いつの間にか皆さんニコニコと笑顔になっておしゃべりをしていました。最後に、オーギさんが用意してくれた顔のない「スマイル根付」に、この体験を終えた「今」の気持ちを、顔にして描いてもらいました。シンプルな「スマイル」もあれば、まつげをつけたスマイルもあったり、中にはオーギさんの似顔絵を描いている人もいました。

スマイル根付

 こうして、参加者の皆さんはニコニコしながらバスに揺られてまた帰って行かれました。そして、なぜか私たちもニコニコと笑顔になっていました。外は冬の始まりの寒風が吹いていましたが、心の中は暖かい、そんな半日のプログラムでした。
 プログラムを終えて、いくつか感じたことがありました。まず一つ目は、オーギさんというアーティストがかかわったことで、参加者にとっても、そしてスタッフにとっても、より豊かな体験の時間がうまれた、ということです。オーギさん自身、「想いと時間が充満してゆき空間をつくる」と言っていますが、「スマイル茶会」という時間とそして空間を作り出すことで、参加者の皆さんもより打ち解け、スタッフと、アーティストと、そして参加者同士のコミュニケーションを楽しんだように思います。もう一つ、他館との連携の在り方として、今回の企画は一つの可能性を打ち出したんじゃないか、ということです。特に、お互いに行ったり来たりができれば、継続していけるような可能性があると感じました。今回は来てもらう側でしたが、次回はぜひ当館でバスを仕立てて九州産業大学美術館へ参加者の皆さんと行きたいものです。できれば他の館ともリレーで実施するなど、連携を広げていければ、さまざまな体験を利用者の皆さんと分かち合えるんじゃないか、そんなことを夢想しつつ、今回はこの辺で失礼いたします。

(主任学芸主事 鬼本佳代子)

 

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