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「海」をわたる-着任のご挨拶

 この春から学芸課近現代美術係の一員となった山田です。東北と北陸の間あたりで生まれ育ち、関東、関西と移り住んだ後、何かの縁に導かれるように関門「海」峡を渡り、ここ福岡にまいりました。
 はじめまして。以後、どうぞよろしくお願いします。
 今回、初めてのブログ投稿ということで、移住にあたっての心構えを書かせていただきました。まとまりのない文章で恐縮ですが、よろしければ最後までお付き合いくださいませ。

「異邦人」として
 以前、関東から関西に移り住んだときの印象を「言葉が通じる『異国』に来た」と表現した記憶があります。これは司馬遼太郎の小説『峠』(昨年、映画化されました)のある場面を意識した言葉です。主人公の越後長岡藩士・河合継之助が、新潟から京都に赴いたとき、「他国」である京都の風景や文化の違いを目の当たりにし、「他国者」の自分と「京者」とを「異邦人の関係にある」と感じた、という場面です。
 もちろん、河合継之助が生きた幕末の日本と、今の日本は大きく異なります。1日あれば日本国内のどこにでも行けますし、日本中どこでも、同じ食べ物、同じ服装、同じ風景に出会えます。国内で「異邦人」として暮らすことなどもう不可能に近いのかもしれません。(実際のところ、私自身も既に福岡生活に慣れてしまってます。これはもしかしたら、毎日のように通う当館が、慣れ親しんだ地元の美術館と同じ前川建築だからかもしれませんが・・・)。
 とは言うものの、グローバル化の名のもとに均質化しつつある現代社会でこそ、あえて各地の文化的差異を意識することが重要であると常々感じております。だからこそ「異邦人」として福岡のユニークな文化と歴史に触れてみても良いのではないか。多様性に満ちた福岡には異国要素溢れるものが沢山あります。ふと目の前に現れる街中のパブリック・アート、大濠公園内で出会う何だかよくわからない歴史の断片、スーパーや飲食店で目にする初めての食材、お菓子、街中を歩く人々の装いと表情の豊かさ。そういったものに、これからもどんどん触れていけることを、今から楽しみにしています。

近現代美術係からのご案内
 稚拙な感想はここまでにして、最後に一つご案内がございます。
 私が所属する近現代美術係では、6月12日から6月21日まで近現代美術のコレクション展示室を全て閉室し、年に一度の「大展示替え」を行います!
 新しい展示は6月22日(木)にオープン。
 どうぞお楽しみに!!
 ちなみに、今期の私の「推し」作品はポール・デルヴォーの《夜の通り (散歩する女たちと学者)》。たまには現実世界を離れて、ただただ、不可解な「超」現実世界に浸ってみてはいかがでしょうか。静寂の漂う夢のような世界が、日常の喧騒を忘れさせてくれるはず。
 他にも興味深い作品が数多く展示されます!
 ぜひ、それぞれの「推し」作品を見つけてみてください。

(学芸員 近現代美術担当 山田隆行)
 

★★コレクションハイライト★★
2023年6月22日(木)〜通年展示 | 近現代美術室C

★★山好きな画家たち★★
2023年6月22日(木)〜8月27日(日) | 近現代美術室A

★★時代で見る美術 1940年代★★
2023年6月22日(木)〜9月10日(日) | 近現代美術室B

 

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