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夏休みこども美術館2023「うつくsea!すばらsea!」オープン!

こんにちは。今年も暑い夏がやってきましたね。福岡市美術館の夏といえば、そう、夏休みこども美術館!今年は「海」をテーマに、「うつくsea(しー)!すばらsea(しー)!」展を古美術企画展示室で開催しています。
このブログでは、この展覧会を担当した筆者のお気に入り作品を、作品選定理由や作品調査の裏話も含めながらいくつかご紹介したいと思います。

まずは、こちらの《法螺貝》。言わずもがな、貝が素材に使われていることが出品理由です。私は、大河ドラマを欠かさず視聴する歴史好きなので「武具かっこいい!」と出品することを即決。吹くために取り付けている金具が貝とぴったりくっついている技巧に見惚れます。よく見ると金具にはハート型があり、かわいいところもある。
制作年がおよそ16世紀と、約500年前につくられています。制作当時にこの大きさであった貝は、こんなに大きくなるのに何年かかったんだろう?と、作品自体の歴史と、素材である貝そのものの歴史にロマンを感じます。

《法螺貝》桃山時代16世紀

続いて、《波千鳥に碇鼈甲花笄(はなこうがい)》をご紹介。この作品は、「海なら鼈甲(べっこう)の作品もあるよ」と学芸課長に教えていただき、無知な私は初めて鼈甲がウミガメの甲羅であると知りました。ということで、当館の鼈甲の作品の中からモチーフが海っぽいという安直な理由で《波千鳥に碇鼈甲花笄》に決定。そして、作品調査のために行った収蔵庫で初めてこの作品にご対面。

《波千鳥に碇鼈甲花笄》江戸時代18-19世紀

「わ~!なんてキレイなの!」が鼈甲作品との初対面の感想でした。やはり図録で見るのと本物を見るのは大違いですね。古美術係のM学芸員によると「つがいの鳥や、ハマグリ、碇と夫婦円満のおめでたいモチーフですね」とのこと。髪に挿す笄の部分はところどころ欠けていて使用感もあります。きっと、黒田家のお姫様が婚礼に用いたのではないかと思われます。でも、よーく見ると鳥は5羽。あれれ、つがいになっていない仲間はずれの子が。婚礼に使った後、円満な夫婦生活を送れたのかな……。

三つめは、この《白釉劃花(かっか)波文枕》。「陶枕(とうちん)」という陶器でできた枕です。白い色と、シンプルな波文が涼しげで夏のお昼寝に使ってみたいですね。
ガラスケースに入っている今回の展示方法では分からないのですが、焼成したときに破裂しないようにするための穴が裏側の側面に空けられています。そして、この枕、振ってみると中からカラカラと音がするのです!何か中に入っている!と、裏にある穴から中をのぞいて見ても、穴は小さいし、中は真っ暗だし、何も見えません…残念。
見た目も仕掛けも魅力的な陶枕なのです。

《白釉劃花波文枕》12-13世紀 森田コレクション

本当は一点一点、なぜこの作品を選んだのか語りたいところですが、ひとまず、今回のブログでは三点をご紹介しました。当館に着任してから初めて担当した展覧会なので、展示を彩ってくれた作品たちに愛着が湧いています。いつか機会があれば他の作品のこともお話できたらと思います。
そんな美しく、素晴らしい作品たちを多くの方々にご観覧いただけたら嬉しいです!8月26日のつきなみ講座では、展示ができるまで私がどんなことをしていたのかをお話したいと思っていますので、ご都合がよろしければそちらにもぜひ足を運んでもらえると幸いです。

夏休みこども美術館2023「うつくsea!すばらsea!」
6月27日(火)~9月10日(日) 1階 古美術企画展示室

(教育普及専門員 八並美咲)

 

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