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作品貸出と懐かしい再会

画像:状態調査で使用する道具類の一例

 皆さんの聞きなれない学芸業務の一つとして、作品貸出(さくひんかしだし)というものがあります。作品貸出というのは名前の通り、他の施設から作品の借用依頼があった際に作品を貸し出す業務のことを指します。この業務は作品を安全に貸し借りが出来ることを目的としているのですが、作品の借用依頼の打診からはじまり、事前に詳細確認、手続きといった過程をクリアします。貸出当日は借用側の担当者が当館に訪れ、貸出担当の学芸員と共に作業(作品の状態調査と写真記録、注意事項の確認・共有、輸送)をします。信頼関係が非常に重要な業務でもあるわけですね。

 さて、かなり前のお話です。とある美術館から作品借用の依頼がありました。郷土作家の展覧会を行うために当館の所蔵作品を借用したいというものでした。申請や許諾諸々の手続きを済ませた後、展覧会担当学芸員の方から、当日の立ち会いに別の学芸員が向かう旨のメールが届きました。Cc:の欄には当日対応される学芸員さんのメールアドレスが。たまたま、通りがかったM田学芸員が私のパソコンを覗き「あ、Yさんが来るんですか」と言いました。ぽかんとする私にM田学芸員は「え、分からないんですか、あのYさんですよ」とニヤニヤ。もう一度アドレスを確認し、ようやくYさんの正体が福岡市美術館でかつて一緒に働いていたYさんと理解したのでした。Yさんは、育休をとっていた学芸員の代替職員としてしばらく当館に勤務していたのでした。実は、私が福岡市美術館に勤めはじめてから、他にも数名の方が美術館に勤務し、経験を積んだ後に様々な道へ旅立っていきました。Yさんもその職員の一人です。貸出当日、予定時刻よりも早く到着するという事前の電話で、懐かしい声を聞くことが出来ました。久しぶりに会ったYさんは髪を切り、以前よりもずっと大人びた表情をしていました。

 このように、作品貸出業務は懐かしい面々と再会できる場になることもありますし、普段、聞くことの出来ない他館の様子や貸出作品に関わる展覧会の話、果ては各館ご当地の話に触れる貴重な機会のため、貸出対応業務は私のささやかな楽しみの一つとなっています。ちなみに「福岡あるある」なのですが、冬の時期に来られる学芸員さんからは「福岡は暖かいと思ってたのに思ってたより寒い」と言われます。福岡は日本海側かつ緯度が意外と上の方であるため、と思いますが、青森から来られた学芸員さんからそう言われた時は軽くショックでした。言われて気づくことが多々あります。

(近現代美術係 渡抜由季)

作品貸出業務の一例を紹介しています。
「黒田官兵衛 伝説の法螺貝「北条白貝」などを貸し出す一部始終(福岡市美術館)」

 

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