開館時間9:30~17:30(入館は17:00まで)

メニューを閉じる
ホーム > ブログ > 不要でもなければ不急でもない!
福岡市美術館ブログ

新着投稿

館長ブログ

不要でもなければ不急でもない!

日に日に陽ざしが強くなってきました。黄砂のせいかなかなか青空が見られないのが残念。
福岡も緊急事態宣言が延長され、特別展『高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの』を除いて、コレクション展示やカフェ・レストラン、ミュージアムショップなどはまだ、静かなままです。

いろいろな街のいろいろな美術館が、開いていたり閉まっていたりしていて、微妙な気持ちになります。日々大量の情報にさらされていると、不安とか批判とかが、ふと口をついて出てくるのですけれど(それが求められているようにも感じたりして)、できれば、よいことを発見して、気持ちをポジティブな方に持っていきたいなと思っています。

嬉しかったことのひとつが、都倉俊一文化庁長官が5月に「文化芸術に関わる全ての皆様へ」と題して出された、下記のコメントです。

文化芸術に関わる全ての皆様へ

本年四月二十五日から開始された三度目の緊急事態宣言においては、対象地域におけるすべての文化芸術関係の公演や施設についても無観客化や休業をお願いすることとなり、大変な混乱と御負担をおかけしました。練習や準備を積み重ねてきた関係者の方々、そして心待ちにされていた皆様のお気持ちを考えると非常に心苦しく思います。皆様のご理解とご協力に改めて深く御礼申し上げます。
 この度、緊急事態措置を延長するに当たって、催物や一部の施設に関する政府の目安を緩和し、業種別ガイドラインに基づく感染症対策の徹底など、新型コロナウイルス感染症対策へご協力いただくことを前提に、宣言下においても一定の活動を継続いただけることとなりました。

 感染拡大のリスクをできる限り抑えながら、文化芸術活動を続けていくことは、不可能なことでは決してありません。したがって、文化芸術活動の休止を求めることは、あらゆる手段を尽くした上での最終的な手段であるべきと考えます。
 皆様におかれては、これからも文化芸術に関する活動を、可能な限りご継続ください。文化庁長官として私が先頭に立って、そのための支援に全力を尽くしてまいります。

 文化庁に設置した感染症対策のアドバイザリーボードの提言 では、クラシックコンサート・演劇等の公演は、観客が大声で歓声、声援等を行うものではないため、観客席における飛沫の発生は少なく、感染拡大のリスクは低いとされています 。これらの公演については、消毒や換気、検温、マスク着用の徹底はもちろん、観客席で大声を出さないことの周知徹底を行い、入退場時やトイレ等での密が発生しないための措置の実施や感染防止策を行ったエリア以外での飲食の制限、公演前後の練習や楽屋等での対策等を業種別ガイドラインに基づき行えば、リスクを最小限にしながら実施することが可能です。
 また、来場者が静かな環境で鑑賞を行う博物館や美術館、映画館等においても、飛沫による感染拡大のリスクは低いと考えられ、消毒や換気、検温、マスク着用の徹底に加えて、予約制の導入等による入退場の適切な管理を行い、展示の種類や態様に応じて密が発生しないような措置を講じるとともに、トイレやレストラン、カフェテリア等における感染防止策を業種別ガイドラインに基づき徹底すれば、リスクを最小限にしながら開館することが可能だと考えられます。
 実際に、このような感染症対策が適切に講じられている公演や展示において、来場者間で感染が広がった事例は報告されていません。

 これまでの新型コロナウイルス感染症との過酷な闘いの中で明らかになったことは、このような未曽有の困難と不安の中、私たちに安らぎと勇気、明日への希望を与えてくれたのが、文化であり芸術であったということです。
 文化芸術活動は、断じて不要でもなければ不急でもありません。このような状況であるからこそ、社会全体の健康や幸福を維持し、私たちが生きていく上で、必要不可欠なものであると確信しています。

令和三年五月 文化庁長官
  都倉俊一


i
「文化芸術活動の継続・発展に向けた感染症対策の在り方について」(2021219日新型コロナウイルス感染症対策の推進による文化芸術活動の継続・発展に関する専門家会合)

ii 「クラシック音楽・鑑賞に伴う飛沫感染リスク検証実験報告書」(20207月 クラシック音楽公演運営推進協議会 日本管打・吹奏楽学会)では、高性能クリーンルームにおける実験であるものの、マスク着用下であれば、「1席あけた着席」でも「連続する着席」でも、飛沫などを介する感染のリスクに大きな差はないことが示唆されています。)

文化庁のトップがわかりやすい文章で、気持ちもこめて、その意志を明らかにされたことは、とても良かったと思いました。こうした意見の表明があったからといって、すべての美術館が開いたわけではありません。けれど、それぞれの街で開閉館の判断の自由が与えられていたことも、いいことだと思っています。

今、福岡市美術館で見ていただける展覧会は、『高畑勲展』だけなのですが、これだけはいえます。とっても、いい展覧会です。多分、どんな世代の方がいらしても、必ず心に響くもの、残るものがあります。楽しんでいただきたいと思います。

そして、福岡市美術館のすべてが開館できる日を待ちたいと思います。館内では、その準備を着々と進めています。
(館長 岩永悦子)

 

新着投稿

カテゴリー

アーカイブ

SNS