2026年7月8日 12:07
みなさんこんにちは。7月に入り、本格的に暑くなってきました。そして2026年も下半期に入りました!早いですね〜。
さて、今年も「夏休みこども美術館」がスタートしました。福岡市美術館で1990年から毎年夏の時期に開催している教育普及プログラムです。今年のテーマは「宇宙」!今回のブログでは、なぜ宇宙をテーマにしたのかについて紹介します。
こどもの頃、こんな言葉を聞きました。「宇宙というのはとても大きくて、そんな宇宙に比べたら私たちの存在なんてちっぽけだ。だから、宇宙のことを考えていると自分の悩みなんてのは、たいしたことないように思えるよ。」当時の私は、この言葉が腑に落ちませんでした。宇宙がどれだけ広かろうと私の悩みは変わらずそこにあると思ったからです。
人間は大なり小なり悩みを抱えて生きているものでしょう。私も小さい頃から、とある悩みがあります。それは、自分のアイデンティティについてです。私は1歳になる前に日本に来ました。それ以来、こちらに住んでいます。自分が育った国は日本だけれど、国籍やルーツは日本ではありません。私は、いったい何人なのだろう…?普段は自分のアイデンティティについて意識をしていないのですが、ふとした瞬間にそれが悩みや苦しみとなって現れることがあります。そんな時は、宇宙人になれたらいいなあと思っていました。人間だから人種の分類がある、だけど宇宙人になれば人種も何もないだろう。人間である以上この悩みからは逃れられないと思ったので、人間であることをやめればこの悩みからは解放されるのではないかと考えていました。
ですが、その考えが揺らぐ出来事がありました。好きな漫画を読んでいた時「宇宙人から見たらこっちも宇宙人」という言葉が出てきたのです。その言葉を目にした瞬間、時が止まったように感じました。あんなになりたいと思っていた宇宙人に既に私はなっていたのか?それならなぜ苦しいままなんだ…宇宙人になることで人間であるがゆえの悩みから逃れようとしていた自分にとって、この言葉は気持ちを混乱させるものでした。自分1人では気持ちを整理できそうになかったので、兄に相談をすることにしました。すると兄は、私たちは宇宙の中で生きているのだから宇宙人だとも言える、と言いました。その言葉を聞いた時、先ほどまでのモヤモヤはどこかへ行き、気持ちが晴れたように感じました。なぜなら、宇宙を遠く離れた別世界に存在するものだと思っていた当時の私にとって、あの果てしなく広がる宇宙の中で自分が生きていると知った時、自分の内面に広がる世界さえも広がったような感覚を味わったからです。
この出来事があってから、「宇宙のことを考えていると自分の悩みなんてのは、たいしたことないように思える」という言葉の捉え方が変わりました。悩みそのものが消えることはないかもしれないけれど、宇宙の果てしなさや壮大さを想像することで、自分の心の持ちようはいかようにも変わるかもしれない。今回の展示がきっかけとなり、自分自身の内側にある世界が広がる機会となれば嬉しいです。
夏休みこども美術館2026「宇宙にいきたい」は8月30日(日)まで開催しています。関連プログラムであるワークショップへの応募は7月16日(木)までです。皆さんのお越しを心よりお待ちしております。

展示室の様子
(教育普及係 姜知潤)