2023年12月20日 09:12
ショップの前をふらふら歩いていたら、ブログの執筆依頼を受けました。大変ありがたいお話ですが、いつものように、ご紹介できる新商品や新しいLINEスタンプもありません。どうしよう…と考えた結果、今回は「こぶうしくん張り子の作り方」をご紹介します。
※ネットでふんわり調べた知識で作成しているので、もっと手軽にできる作り方が有る筈です。
・準備するもの
和紙、新聞紙、カッター、糊、紙粘土、ニス、絵具、筆、ラップ
・作り方
①紙粘土で型を作成します。数日乾燥させたらニスを塗りましょう。いつか『こぶうしくん職人』に転職しようかなこぶ。
②ニスを満遍なく塗ったらラップで包んで乾燥させます。ラップで包んでおくと和紙を剥がす際にスムーズに剥がせます。初めて作ったときは、ラップを使わずに作ってしまったので、型がなかなか剝がれなくてボロボロになりました。型を作り直したこぶ…。
③型が乾いたら水で濡らした新聞紙で包みます。なるべくキレイに良い感じに包むこぶ
④包んだ新聞紙の上から、水で溶いた糊を使って和紙を貼り付けていきます。和紙の層を3~4層ぐらいが丁度良い気がします。薄いと脆くなり、厚すぎると切り込みを入れるときに大変ですこぶ。
⑤和紙を貼ったら、数日乾燥させますこぶ。
⑥和紙が乾燥したらカッターで切り込みを入れて型から外します。ケガをしないように気をつけて下さい。多少、形が崩れていても、あとからわりと修正が出来ますこぶ。
⑦型から外すときに崩れた形を整えつつ、切り込みを入れた箇所を和紙で張り合わせて、顔と体のパーツを木工用ボンドでくっつけて乾燥させたら、水で溶いた紙粘土を表面に薄く塗っていきます。和紙の凹凸を埋めて滑らかにする感じで塗って下さいこぶ。
⑧紙粘土が乾いたら絵具で色を塗ります。目の位置は薄く鉛筆で下書きをすると可愛く描けます。おでこの▼を忘れないでこぶ。
⑨完成!!
こぶうし総館長と記念撮影しましたこぶ。
こぶうしくん張り子と、こぶうしくんミニフィギュア?をたくさん作ったので、福袋のおまけに付けようと思います。どちらかが必ず入っているますこぶ。
福袋は福岡市美術館1階のミュージアムショップにて12月20日(水)より発売します
2023年12月13日 14:12
こんにちは、国際渉外担当の太田です。今回は、私が先月行ったインド旅行の報告をさせていただきます。ただ単に、私が休暇をとってインドに遊びに行っただけの話なのですが、休暇から戻った後の会議で「太田さん、ブログでインド旅行記、書きませんか?」とお声がかかり、「いいですけど・・・でも私の旅行よりもっと重要な話題はないのですか・・・?」と言う私に皆さんが出したゴーサインを信じ、この場で個人的な旅行の話をさせていただく次第です。美術もアートも出てきませんが、ご興味のある方はどうぞお付き合いくださいませ。
前回のブログで自己紹介したとおり、私は以前、南インドにあるカルナータカ州のベンガルールという都市で働いておりました。今回の旅行は、久しぶりにインドの友人に会ったり、南インド旅行でもしたいな!というシンプルかつ個人的な動機によるものでして、美術館のブログに何を書けばいいか皆目見当つかないのが正直なところです。どうしようかなぁと数日間真剣に考えたのですが、ベンガルールから足を伸ばしてお隣のタミルナドゥ州を少々旅行した際に改めて気付いたことがあったので、それについて述べたいと思います。
今回の旅行では、初日からスコールに降られ、美食で知られる地方でインド料理を堪能し、廃墟と化しつつある色鮮やかな豪邸群を見学し、11世紀に建てられた壮大なヒンドゥー教寺院を訪問するなどして、一週間程かけて、タミルナドゥ州のマドゥライからタンジャーヴールという町まで移動しました。
突然のスコール。そして水浸しになる道路。もはや川。
地域ごとに特色があり、インド料理は本当に奥が深い・・・。そして何を食べても美味しい!毎日食べ過ぎました。
20世紀初頭に豪商が建てたアッタングディ・パレス。目が眩むような豪華さです。
11世紀、チョーラ朝の最盛期に建てられたブリハディーシュワラ寺院。外壁を飾る神々の見事な彫刻には圧倒されます。
全行程を合わせて200キロ近い距離でしたが、移動は全てバスを使いました。ベンガルールで働いていた頃はもっぱら鉄道で旅行していたので、バス旅は不慣れだったのですが、バスの運転手さんと車掌さん、そして乗客の方々の優しさのおかげでなんとかなりました(皆さん本当に親切でした・・・)。インドのバスではなんとなく、前方の席には女性、後方の席には男性が座ることが多いです。混んでいると立ち乗りになるのですが、前の方にいると、運転席の横の謎のスペースに座らされることがあります。これが座り心地は悪くとも結構な特等席で、フロントガラスの目の前なので、ジェットコースターの最前列みたいな気分を味わえます。私の体感ですが、インドのバスは日本のバスより車高が高くてフロントガラスも広々した感じなので、意外と眺めもいいのです。穏やかな田園地帯やヤシの木が立ち並ぶ田舎道、こじんまりした村や活気ある町を通り過ぎるのを眺めながら、車内を流れるインド音楽に身をゆだねるのも、バス旅の特権と言えましょう。
この運転席の横のスペースが特等席?です。全てのバスにあるわけじゃないです。
インド旅行と言えばスナック!バスターミナルに着くたびに売り子さんが寄ってきます。
特等席から前方を向いて、バスが道路を進む様子を見ていると、いくつか気付くことがあります。まず、追い越し車線と対向車線が同じものだということです。私はベンガルールに住んでいた頃、いくら道路が渋滞していようが少しでも隙間があれば入り込み、なんとしてでも前に行こうとする車やバイクやオートリクシャーを見ては、テトリスを思い出しながら、インドに車線という概念はないのだろうかと考えたものです。今回、自分の乗るバスが道路の空いているスペースを縦横無尽に進んでいくの見て、この国で運転する人たちの基本姿勢を思い知る気持ちがしました。二つの車線の間に白線はある、でも空いている方を通った方が早いじゃん、そういうことです。さらに今回新たに気付いたことは、対向車線で優先されるのは対向車ではないということです。どっちの車線を走っていようと、大きくて速くてクラクションのうるさい車両が強いのです。つまり、けたたましくクラクションを鳴らしながら爆走するバスは、ヒエラルキーの頂点に立つわけです。前方を走るオートリクシャーやバイクが、バスから大音量でクラクションを鳴らされて道を空け、対向車線にはみ出しながらバスがそれらを追い越し(クラクションは鳴らしっぱなし)、スピードを上げて向かってくるバスを見て対向車が減速して道を空ける・・・こんな光景を何度も見て、そのシンプルな力関係に気付きました。まさに弱肉強食。情け容赦ないこの世の摂理。一方通行が多く、慢性的に渋滞が発生しているベンガルールにいたままでは、そしてバスという移動手段を選択していなければ、一見したところでは無法地帯のインドの路上に、このような力関係が働いているとは知らないままだったかもしれません。バス旅は、そもそも目的のバスを見つけるのが結構大変だったりするので、気力と体力を使う移動手段ではあるのですが、やはりそれに見合う面白さがあるな、としみじみ思いました。ちなみにインドのバスは妙に年期が入ったガタガタの車体が多く、扉もそもそもなかったりして、たとえ扉があっても開けたまま走っていることがほとんどです。今回の旅行では8台ほどのバスに乗りましたが、どのバスも扉はありませんでした。窓も扉も全開で走るので風が気持ちよく、なんだかよく分からないインド音楽を聴きながら車窓を眺めるのも、旅情を誘われてなかなか乙なものです。
以上、私のインド旅行の報告でした。インドは驚くくらい多様で深遠、複雑怪奇な国で、上記の私の経験談も、この国の表面をちらっとかすめただけに過ぎません。ご興味のある方は、ぜひ一度、ご自身で訪れてみることをお勧めします。用意を念入りにすると現地でのストレスを軽減することができますが、でもやっぱり何事も予定通りに行かないのが、この国の厄介なところであり、魅力的なところです。イライラハラハラした後は、「まあ人生こんなもんだよね!」そんな気分になりますよ。
牛たちものんびり気持ちよさそうです。
(国際渉外担当 太田早耶)
2023年12月7日 11:12
どーも。総館長の中山です。
11月23日に、美術史家で明治学院大学教授の山下裕二さんとプレゼンバトルをしました。当館の古美術作品から「超絶技巧」「ユーモア」「威風堂々」「カワイイ」「これ欲しい!」という五つのお題をもとに互いに自分が好きな作品を選び、赤コーナーと青コーナーに分かれて五ラウンド。本物のゴングも鳴らされながら、おのれの偏愛度を披露しあう、語り合うというトークイベントでした。大勢の方にご来場いただき、和気あいあいにバトルすることができて楽しかったです。
「プレゼンバトル 古美術編!」会場の様子
ということで今回は「偏愛」をおすすめしようと。だいたいが、キリストやブッダじゃあるまいし、「かたよらない愛」などということ自体が大変むずかしい。凡人の愛は大抵、かたよります。でも不平等になってはいけない場合も多い。三人子どもがいるけど、ひとりだけを可愛がるとか。先生がえこひいきするとか。
いまは偏愛ではなく「推し」という便利な言葉がありますね。山下さんの推しメンは、超絶技巧は「病草紙 肥満の女」と「尹大納言絵詞」、ユーモアは「宮本武蔵 布袋見闘鶏図」と「伝・梁楷 鶏骨図」、威風堂々は「壺形土器」、カワイイは「仙厓 犬図」と「弥勒菩薩半跏像」、これ欲しい!は「長次郎黒楽茶碗 銘次郎坊」などでした。いやあ仙厓以外は松永コレクションで、さすが名品ばかりです。
対してわたしは、超絶技巧は「金銀鍍透彫華籠」と「蟹自在」、ユーモアは「岩佐又兵衛 三十六歌仙」と「仙厓 牛図」、威風堂々は「薬師如来立像」と「古林清茂墨蹟」、カワイイは「コブウシ土偶」と「女性土偶」、これ欲しい!は「青磁迦陵頻伽形水注」と「牡丹唐草文螺鈿小刀」でした。
こうして並べてみるとわたしの推しメンは、なんかメチャクチャ? そうなんです。国は日本、中国、タイ、パキスタン、時代は紀元前3000年から19世紀まであって、ジャンルもバラバラです。まあ、当館の約4500点ある古美術作品は地域も時代もジャンルも幅広く、しかも名品もたくさんあるのが特色ですから、なるべくかたよらないで選んで、そしてかたよった愛を語ろうと…。
プレゼンバトルではありましたが、勝った負けたはなし。来場の皆さんもアカデミックじゃない話も含めて楽しんでいただけたと思います。
そうなんです。アカデミックじゃなくていいんです。美術鑑賞は。むしろ、好き嫌いをはっきりさせて、好きなものに関しては「推し」をもっと推し進めて、「偏愛」しまくりましょう。美術館ではえこひいき大歓迎なんです。美術を楽しむ秘訣。それは知識ではなく、愛なのです。というか、好きだったらもっと知りたくなる。で、作品にまつわるいろんなことを調べてみる。さらに「偏愛」が深まる。こうなるともう立派な美術マニアの誕生です。当館のコレクション展示室は年に何回も展示替えをしていますから、来るたびになにかしら新しい作品と出会うことができます。自分勝手にお題を決めて、推しメンをさがす、というのもアリではないでしょうか。
(総館長 中山喜一朗)