2022年10月19日 13:10
みなさんこんにちは。10月も半ば、秋の訪れを感じる季節になってきましたね。秋といえば食欲の秋、スポーツの秋、そして芸術の秋。いろいろなイベントが目白押しで、どこへ行こうか迷っている方もいらっしゃるでしょう。そんな時は、ぜひ福岡市美術館にもお出かけください。特にお子さんと一緒に楽しめるイベントをお探しの方、とってもおすすめの催しがあります!
福岡市美術館では毎年開館記念日の11月3日にあわせて「ファミリーDAY」を開催し、未就学児から中学生まで、そしてその保護者の方を対象に、家族で美術館をまるごと楽しんでもらえるさまざまなプログラムを企画しています。今年は11月3日(木・祝)〜6日(日)の4日間にわたり開催、ここでちょっとだけその内容を紹介したいと思います。
福岡市美術館といえば何と言っても多彩なコレクションが自慢です。古美術から現代美術まで時代もジャンルも幅広い所蔵品を6つの展示室それぞれにテーマを設けて展示しています。ファミリーDAY期間中はその展示室がなんと謎解きの舞台に!館内を巡りながらクイズに答える「かいとうキッズ 美術館の謎をとけ!」では、お子さんと一緒にクイズに答えながら楽しく作品鑑賞ができます。クイズに挑戦した後は、ぜひ作品についてお互い気がついたことなどお話ししてみてくださいね。
昨年の「かいとうキッズ 美術館の謎をとけ!」のようす みんな真剣です
「うちの子どもは美術のクイズとか苦手かも…」なんてちょっと心配している方がいらしたら、「走れコブウシくん!+ぬりえ」はどうでしょう?1階のロビーでは、所蔵品をモデルにした動く人形作りやぬり絵ができるコーナーを設けます。当館でも人気のコブウシ土偶や2階の展示室入り口前にある巨大なおすもうさんの作品(中ハシ克シゲ作《Nippon Cha Cha Cha》)が紙製の人形に大変身!組み立てて動かせるようにして遊びます。人形作りがちょっと難しいという人はぬり絵だけの参加もできます。もちろん大人のみなさんも作ってくださいね。完成したらぜひモデルになった作品を見に行ってください。実物を見るとこんな作品だったのかといろんな発見もあってきっと興味がわいてくると思います。
「走れコブウシくん!+ぬりえ」 ほかにもいろいろあります!
「キッズスペース 森のたね」では、未就学のお子さんを対象に、自由に作品づくりができる「ミニミニワークショップ」を行います。「森のたね」に突然あらわれた大きなタネのオブジェ。アーティスト・オーギカナエさんがこのワークショップのために制作してくれました。子どもたちにはそのタネの中に隠されている素材を3つ取り出して、ハサミやテープを使って「森のなかま」を作ってもらいます。たった3つの素材からいったいどんな作品ができるのか。もしかするとお子さんにとっての初めてのアート作品ができるかも?
ミニミニワークショップのようす 真ん中に大きなタネが!
ここでは11月3日、5日、6日のファミリーDAY開催時間中にいつでも参加していただけるプログラムを紹介しましたが、他にも「布でバッジを作ろう」(11月5日、当日先着順)や、事前の申し込みが必要にはなりますが「箱型カメラをつくってあそぼう!」(11月3日)、「はじめてのベビーカーツアー」(11月4日)、「屏風をつくろう!」(11月6日)もあります。どれにしようかな、なんてお子さんと一緒に悩みつつ気になるプログラムをみつけて参加してみてください。
美術館に子どもを連れて行くのはなんとなくハードルが高いなんて思っていらしたら、まずはファミリーDAYに参加してみてください。それをきっかけにお子さんと一緒にアートに触れる体験を楽しんでいただけたらと思います。
各プログラムの内容はこちらでご覧いただけます。
https://www.fukuoka-art-museum.jp/event/59430/
(教育普及専門員 中原千代子)
2022年7月27日 16:07
はじめまして。4月から福岡市美術館の教育普及係に着任しました森元と申します。今回初めてブログを書くのでドキドキしながら書いていますが、ご一読していただければ幸いです。
さて、今日のブログでは、7月23日(土)に行った子ども向けワークショップ「水と色であそぶマーブリング」の様子を紹介します。マーブリングとは水面に絵の具を垂らして、混ぜたりしてマーブル模様をつくって紙に写し取る技法です。このワークショップは現在開催中の「夏休み子ども美術館2022 水のリズム」展のテーマにちなんで企画されました。
皆様はマーブリングの経験があるでしょうか? 私は小学生のときに図画工作の授業でやったことがあるのですが、紙に写った絵の具がとても薄くて「……?」と微妙だった思い出があります。当館の先輩から「マーブリングのワークショップをやります」と言われたときに、そのときの微妙な気持ちを思い出し、参加者に楽しんでもらえるのかな?と心の中でやや不安に思っていました。
しかし、その不安はすぐに払拭されました。ワークショップ講師として福岡教育大学の加藤隆之准教授をお招きしたのですが、加藤先生にいろいろと考えていただき、私たちにご教授いただいたおかげで、リハーサルそして本番とも、とても鮮やかなマーブリング作品ができあがりました。このワークショップでは、マーブリング技法専用の水よりとろりとした液体とアクリル絵の具を使用したのですが、それらの材料が発色の良い作品ができた秘密のようです。なるほど、私が小学生のときにやったのはただの水道水だったから薄くなったのか~と十数年経って気づくことができました。
美術館のスタッフがつくった試作品
リハーサルや準備を進め、来たる7月23日(土)。11時、13時半、15時と計3回に分けて実施の予定だったのですが、ありがたいことにどの回も定員の20名の倍の人たちが集まってくれました。そこで、午前の回は定員のほぼ倍の子どもたちを受け入れ、午後は急遽2回追加で行い(つまり計5回ワークショップをしました!)、なんと約120名もの子どもたちにマーブリングを楽しんでもらうことができました。
では、その内容もここで少しご紹介します。まず初めに、加藤先生と一緒に福岡教育大学から来てくれた学生スタッフさんに手順を見せてもらいます。参加してくれた子どもたちはみんな何が起こるのかとワクワク、キラキラした目で見つめていました。
「スポイトで水面に絵の具を垂らすよ」とお手本
説明を聞き終わって、自分たちもやってみるときがきた!ちょっと緊張した表情でトレーの中のマーブリング液に絵の具を垂らす子どもたち。未就学の子どもたちも対象でしたので、保護者にサポートしてもらいながら、思い思いの色で絵の具の流れをつくっていました。
竹串で水面を混ぜてマーブル模様をつくる!
マーブル模様ができたら、次は丸い厚紙(使い捨てコースターだそうです)を水面につけて模様を写し取ります。ノリノリで紙を浸ける子もいれば、おそるおそる慎重に行う子も。作品だけでなく、作品をつくる課程でも個性が出るんだなと見ていて思いました。
マーブル模様の水面と出来上がった作品
一人ひとりの制作の時間自体はそんなに長くなかったのですが、みんな満足そうに作品を持って保護者に見せたり、記念撮影をしたりと楽しんでもらえたようでした。
福岡市美術館に着任して初めての子どもたちとのワークショップ。120人の子どもたちの作品づくりをサポートするのは大変でしたが、笑顔で「ありがとう」と言われると嬉しく、私にとっても楽しい時間になりました。今回体験してもらったワークショップが、始まったばかりの夏休みの素敵な思い出の一つになるといいなと思います。
「水と色であそぶマーブリング」のもととなっている「夏休みこども美術館2022 水のリズム」展は8月21日まで。このブログを読まれている皆様も、美術館に遊びに来て楽しい夏の思い出をつくってもらえたら嬉しいです!
(教育普及専門員 森元美咲)
2022年7月21日 19:07
6月12日のブログでは「絶賛準備中!」だった「tupera tuperaのかおてん.」が、7月1日に無事開幕しました!
開幕前の展示作業中には、tupera tuperaのお二人、亀山達矢さんと中川敦子さんが福岡入りし、展示空間をチェックしたり、展示室入り口の床に不思議な顔《ナスカお地上絵》を描いたり、館内のあちこちに「顔」を作ったりしてくれ、これまでの巡回先とはまた違った福岡バージョンの「かおてん.」が出来上がりました。
【床に描かれた不思議な顔《ナスカお地上絵》】
【この「顔」ロビーのどこにあるでしょう?】
開幕直後の7月2日(土)にはお二人によるサイン会、7月3日(日)には「絵本ライブ」を開催しました。「絵本ライブ」には、地元で活躍する音楽ユニット「ザ・スタッカーツ」も加わり、笑いと絶叫と音楽の入り混じる、にぎやかなライブになりました。ちなみに、絵本ライブの飾りは、当館のボランティアさんが制作してくれました!
【サイン会には遠方からいらっしゃったお客様も】
【絵本ライブのようす。参加者の皆さんは、泣いたり笑ったり大忙し】
【ボランティアさんが作った飾り】
では、展覧会はどんな様子か少しご紹介しますね。最初に皆さんをお出迎えするのは大きな鏡。もし、持っていたら、「かおシール」を貼りましょう。「かおシール」を貼ることで、自分自身も「かおてん.」に入り込んでしまおう、というわけです。ちょうど筆者が通りかかったときに、この鏡の前で「かおシール」を貼っている親子に遭遇しました。
次に目に飛び込んでくるのは、絵本『かおノート』の原画と、上からぶら下がったり床に貼られたりした顔のパーツです。パーツとパーツを見ていると、それらが頭の中で組み合わさってパッと顔が見えてくるのが、この展示の面白いところ。「かおルーペ」を使うと、ルーペの丸の中でパーツが組み合わさって、いろんな顔が発見でき、さらに面白みが増します。(*)
【かおルーペ】
【ルーペから顔パーツをのぞくと・・・なんだか顔らしきものが見えてきました!】
そして、tupera tuperaといえば、何と言っても絵本です。展覧会の前半部分には、『かおノート』だけでなく、『やさいさん』や『あかちゃん』の絵本の原画も展示してあります。それだけでなく、会場の中には、絵本を読めるコーナーもありますので、ぜひ、比べてみて原画の、より繊細な線や色使い、そして制作の軌跡を感じてもらえればと思います。
最後に一つ、絶対これは楽しい!という展示をご紹介します。それは、展覧会の一番最後の部屋にある《床田愉男》のコーナーです。これは、床に置かれた丸い顔の土台に、いろんなパーツを組み合わせ、さらに自分も顔の一部になりきって、写真を撮るという参加型の展示です。しかも、パーツというのが、パンツの形やリンゴの形をしていたり、鉛筆やフォークの形をしていたりと、単に顔のパーツというわけではないので、参加する皆さんの想像力やユーモアが試されます。そして、天井には大きな鏡が吊るされているので、出来上がった顔を鏡に映して、真上から撮ったように撮影することができます。是非是非たくさんの人に来館して体験して、そしていろんな写真を撮っていただきたいと思っています。
先日、この会場の監視をしているスタッフから、「こんなに楽しい展覧会を、福岡市美術館でやってくれて、本当にありがとうございます!と立て続けに3組のお客さんから言われました!」と嬉しい伝言をいただきました。親子で、カップルで、友達とで楽しめる「tupera tuperaのかおてん.」は、8月21日(日)まで続きます。ぜひ、お見逃しなく!
(教育普及担当 主任学芸主事 鬼本佳代子)
(*)「かおシール」と「かおルーペ」は展覧会場入り口にて販売しています。
展覧会特設ホームページ https://artne.jp/tuperatupera/