2019年7月15日 11:07
最近「ボランティア」って言葉が社会に浸透してきましたよね。検索サイトで「美術館 ボランティア」と検索したら、8,100,000件ヒットしました!すごい。全国の美術館・博物館でもボランティア活動が一般的になってきました。
実は、福岡市美術館ボランティアの歴史は長く、開館3年前の1976年からスタートし今年で43年になります。ちなみに、日本の美術館で初めてボランティア活動を始めたのは同じ福岡県の北九州市立美術館で、1974年から。当館も北九州に続けと、2年後の1976年から活動を開始しました。
当館のボランティアは大きく4つのグループに分かれています。
まず始めに「ギャラリーガイドボランティア」。毎日11時と14時にギャラリーツアーを行い、展示作品を紹介します。紹介する作品はボランティアが選ぶので、一期一会。予約なしで当日参加できます。ほかにも、学校団体向けにスクールツアーや、作品の見どころを簡単にご紹介するハイライトツアー、そして最近は英語ツアーも始めました。
ギャラリーガイドボランティアの研修の様子。
次にご紹介するのは「新聞情報ボランティア」。各紙に掲載される美術情報の記事をすべて切り抜きクリッピングしています。この情報は、例えば展覧会図録で美術家の略歴をつくる際などに、大変貴重な資料になります。
続いては「美術家情報ボランティア」、通称DMボランティアです。みなさんDMって分かりますか?そう、ダイレクトメールです。活動中のアーティストは個展などを開くとき、広報のためにDMを送ります。当館にも世界各国から多くのDMが日々届きます。それらを整理し、データ入力しています。
新聞情報ボランティアの活動風景。
最後を飾るのは「図書整理ボランティア」。当館にはなんと8万冊の蔵書があり(図書館並み!)、美術図書や展覧会図録などの整理をしています。
実は以前、当館の季刊誌「エスプラナード」(2017年7月号No.188)でボランティアさんが表紙を飾りました。ボランティア活動の詳細についてもこちらをご覧ください。
さて、美術館のボランティアって美術に詳しくないとダメなんでしょ、と躊躇するかもしれませんが、そんなことはありません。仕事をリタイアしたり、子育てが一段落したりして新しいことを始めたい!という方はもちろん、最近は平日に仕事をして週末にボランティア活動をという方も増えています。年齢も20代から80代までバラバラです。ご紹介した以外にもワークショップのサポートや、館外研修、交流会、と楽しく活動をしています。
10年以上ボランティア活動を続けてくださった方に感謝状を贈呈しています。
改めて、ボランティアさんたちのサポートがあって、美術館の活動は成り立っています。本当に感謝です。みなさん、なんだか興味が湧いてきたでしょう。なんと今年は5年に1度の募集の年なんです。ここで知ったも何かの縁。ご応募お待ちしております。
(学芸員 教育普及担当 﨑田明香)
2019年6月12日 10:06
こんにちは。教育普及を担当している鬼本です。気が付けば、もう6月・・・暑い・・・そして、ただいま「夏休みこども美術館」の絶賛準備中です。そんな中、ミュージアムウィークについてブログを書かないといけなかったことを思い出し、慌てて記憶の巻き戻しをしています。
え~、まず、「福岡ミュージアムウィーク」とは何か?ですが、国際博物館の日(5月18日)をいいことに?福岡市内の美術館博物館18館が、この日を含む9日間、観覧料割引やイベント、そしてスタンプラリーを行うというものです。すでに館長が「建築ツアー」のレポートをしていますが、当館でも、リニューアルオープン記念展の割引に加え、さまざまなイベントをやりました。ちなみに、「国際」と名前につくからには、何か世界的機構が絡んでいると思ったあなた、勘がいいです。国際博物館会議(ICOM)が、1977年に「5月18日を博物館の日にしよう!」と制定し(意外に昔でした)、毎年、テーマも決めています。今年のテーマはMuseums as Cultural Hubs : the Future of Tradition(文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ―)でした。
そんなテーマにふさわしく、ミュージアムウィーク初日の5月18日に、「野村誠コンサート『ノムラノピアノ×福岡市美術館』」を開催しました。実は10年前、当館30周年に、作曲家・音楽家である野村誠さんによるワークショップを開催し、一般参加者と野村さんとで、所蔵品をもとにピアノ曲を作曲しました。このコンサートでは、それらの曲に加え、所蔵品をもとに新たに野村さんが書き下ろした曲など、全31曲を、野村さんご本人に演奏していただきました。美術作品がピアノ曲という新しい表現へと生まれ変わるのは、本当に聞いていてわくわくしますし、ワークショップの体験が、ピアノ曲という形で他の人に伝わったり、残っていったりするということにも、なんだかロマンを感じるじゃないですか!なんとも贅沢な時間でした。
といって、感慨に浸っている暇もなく、翌日は「子ども探検隊」-子ども向けバックヤードツアーです。実はこのプログラム、10年ほど前まで夏休みにやっていたのですが、しばらくお休みしていたところ、せっかくリニューアルしたのだから、子どもたちにもバックヤードを見せて、「美術館って作品保存するためにこんないろいろ気を使ってるんだ~!」ということを改めて伝えようと、このたび復活しました。しかし・・・子どもたちは、館長室で館長からのメッセージに突っ込んだり、空調機械室で驚いたり、と10年前と変わらないのですが・・・こちらの体力が追いつかない!今度やるときは、もっと若い学芸員にやってもらおう・・・と固く誓ってしまいました。
そして、5月25日には毎月恒例のつきなみ講座を、リニューアルオープン記念展期間とミュージアムウィーク期間ということで、特別にゲストを迎えて対談形式で開催しました。ゲストは九州産業大学教授の古賀弥生さん。司会&対談相手は、不肖、鬼本が務めさせていただきました。まずは、古賀さんから障害をもった方が寄席を楽しむための試みについてお話しいただき、その後、福岡市美術館での未就学児童向けプログラムと高齢者プログラムについて語ったあと、美術館になにができるのか、できないのか、ホールでの試みなども絡めながらディスカッションしました。正直、「これからどうする?」という話なので、結論はでないけれど、ともかくも障害を持っているか持っていないかにかかわらず、利用者が選択できる、その選択肢がいろいろあるといいよね、さらに、自分が高齢者になったときに行ってみようか、と言える美術館になっていたいよね、という話で終わりました。
こんな感じで、筆者的には、過去現在未来を行きつ戻りつ・・・のミュージアムウィークでした。まさに、Museums as Cultural Hubs : the Future of Traditionだったなぁ、というのはこじつけすぎでしょうか?
実は、ミュージアムウィーク期間中も毎日ボランティアさんによるギャラリーツアーがあり、そして週末には学芸員によるギャラリートークもありました。特にボランティアさんのツアーついては、またいずれ書こうかなぁ、というところで、今回のブログは終わりにしたいと思います。
(主任学芸主事 教育普及担当 鬼本佳代子)