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福岡市美術館ブログ

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アートのまちづくり推進担当ブログ

FaN Week2026 はじまりました!――美術館からまちへ、まちから美術館へ

9月19日(土)から、今年も「FaN Week」が始まりました。
FaN(Fukuoka Art Next)は、「アートのある暮らし」をキーワードに、市民の皆さんが身近にアートを感じる機会をつくるとともに、アーティストの活動や成長を支えていく福岡市の取り組みです。
そのFaNの活動が、街のあちこちに広がっていく期間が「FaN Week」。

今年のテーマは、「まちにひろがる、アートの遊び場」です。

毎日歩いている道、いつも見ている建物、何気なく過ごしている場所。
そこにアートが加わることで、いつもの風景が少し違って見えてくる。
そんな「いつものまちに、新しい発見が生まれる」ことが、今年のFaN Weekの大きな魅力です。

では、メイン会場をご紹介いたします。

まずは「福岡市美術館」!(市美のブログですからね。笑)
FaN Weekのメインプログラムとして、開催しているのが、
「コレクターズⅤ-ALL MY LOVING-」です。
これまで「コレクターズ」展では、アートを愛し、作品を集めている方々のコレクションを通して、「人とアートの関係」を紹介してきました。
第5回となる今回は、建築家の永山祐子さんと実業家の原田栄二さんのコレクションから、代表的な作品を展示しています。
展覧会のタイトル「ALL MY LOVING」――ありったけの愛(を、作品に)。
作品を「所有する」という言葉だけでは表せない、コレクターとアートとの関係。
なぜ、この作品を選んだのか。なぜ、この作品を手元に置き続けているのか。
作品そのものだけでなく、その背景にある「人とアートとの出会い」にも、ぜひ注目していただきたいと思います。
「美術館で作品を見る」というと、少し構えてしまう方もいるかもしれません。
でも、誰かが「この作品が好きだ」と思ったところから始まったコレクションを見ていくと、アートとの距離が少し近くなるのではないでしょうか。
もしかすると、会場を出る頃には、「自分だったら、どの作品を選ぶだろう?」
そんなことを考えているかもしれません。

また、同館では、もう一つ、見逃せない展覧会があります。
企画展×福岡現代作家ファイル2026「山内光枝展《潮ノ記》」です。
後日、同ブログにて当館担当学芸員による詳細なご紹介があると思います!?ので、ここで多くはご紹介しませんが、映像作品のほか、山内さんご自身が海に潜って目にした風景を描いた作品などが展示されています。必見です!

加えて、2階ロビーでは「FUKUOKA WALL ART PROJECT」の入賞された作品を展示しています。

続いてご紹介するのは、「ワンビル」こと「ONE FUKUOKA BLDG.」!
1階グランドロビーでは、福岡を拠点に活動する美術家・彫刻家、牛嶋均さんの「シアター・オブ・プレイグランド 記憶・身体・検証」が開催されています。
かつて福岡・天神の百貨店の屋上には遊園地がありました。屋上で遊び、大食堂で食事をする――。そんな風景は、当時の子どもたちにとって、都市の中にある大切な「遊び場」でした。
牛嶋さんは、廃棄された遊具の経年変化や、たくさんの子どもたちが触れた痕跡に「美」を見出し、それらを作品として再構築してきたアーティストです。
かつての遊び場に刻まれた記憶や、子どもたちが抱いた夢や憧れを手がかりに、遊具を思わせる形やイメージが大きなインスタレーションとして展開されています。
黄色い戦車を模した作品は、「触れていただく」「中に入っていただくこと」が可能です。
※登ると危ないので止めてくださいね。
FaN Weekのテーマである「まちにひろがる、アートの遊び場」を、まさに体感できる展示となっています。

次は「福岡アジア美術館」!
福岡アジア美術館では、特別展「アジア美術の歩き方 南アジア特別編 対立の先へ―光の水脈をめぐる旅」を開催しています。
インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブの7か国を舞台に、アジア美術館のコレクションに加えて、新作・近作もご紹介しています。南アジアの多様な文化や価値観、現代美術の魅力に出会える「特別編」です。
福岡が古くからアジアとの交流を重ねてきたまちであることを考えると、南アジアの現在の表現を福岡で見ることには、また違った意味が感じられるかもしれません。

次は「Artist Cafe Fukuoka 「グランドスタジオ」」!
福岡市美術館から歩いてすぐのArtist Cafe Fukuokaにも、FaN Weekの見どころがあります。
グランドスタジオでは、伊藤隆介さんによる「福博風景考:時を駆ける少女は飛翔の夢を見るか?」を開催。
廃校となった中学校体育館の大きな空間を生かした展示では、福岡の街の風景や記憶を、映像や立体などを組み合わせながら新たな視点で捉え直します。美術館とはまた違う、Artist Cafe Fukuokaならではの「遊び場」のようなアート体験をお楽しみください。

また、Artist Cafe Fukuokaでは、第26回 福岡アジア美術館アーティスト・イン・レジデンスの成果展「視差―いつもそこに在るもの」を開催しています。
福岡での滞在を通して制作された作品を紹介する成果展で、異なる文化や背景を持つアーティストが、福岡という場所と出会い、そこから何を感じ、どのような表現を生み出したのかを見ることができます。
完成された作品を見るだけでなく、「福岡でアーティストが何を感じ、何を考え、何をつくったのか」に触れられるのも、レジデンスならではの魅力です。

次は「アートフェア:AFAF」!
10月に入ると、福岡国際センターでは「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2026(アート フェア アジア フクオカ2026)」が開催されます。
日本とアジアをつなぐアートフェアとして歩みを重ねてきたAFAFは、今年で第11回の開催となります。
国内外のギャラリーが集まり、作品との出会いや、アートをめぐる人と人との交流が生まれる場となります。
作品を見るだけでなく、ギャラリーの展示を巡り、作家やコレクター、アートに関わる人たちと出会う。
そんなアートの楽しみ方も、ぜひ体験してみてください。

AFAF2025会場風景

次は「美術館を出て、まちへ」!
FaN Weekでは、ご紹介した美術館やArtist Cafe Fukuoka以外にも、FaNパートナー(企業連携)の取り組みで、天神や博多の街のさまざまな場所でアート企画が展開されています。

天神地下街や、ホテル、JR博多シティ、大丸福岡天神店など、企業や施設がそれぞれの場所を生かしてアートを展開。買い物の途中、ホテルでの滞在中、街を歩いているときなど、日常の中でアートに出会える機会が生まれています。
また、毎日歩いている道、いつも見ている建物、何気なく過ごしている場所にもアート作品はたくさんあります。
そこで、今年は初めてパブリックアートをFaN Weekの要素に組み込みました。

FaN Week 2026は、一つの会場で完結するアートイベントではありません。

いろいろな場所を巡ることで、福岡の街そのものが、少し違って見えてくるかもしれません。
福岡市美術館から、ワンビル、福岡アジア美術館、Artist Cafe Fukuoka、さらにAFAF(福岡国際センター)へ。そして、通り道にはFaNパートナーやパブリックアートと出会える。

皆様にとってアートがより身近になり、もっと、FaNに。もっと、このまちのFaNに。
福岡の街で、たくさんのアートとの出会いをお楽しみください。

今回は、「美術館からまちへ」「まちから美術館へ」というコンセプトでFaN Weekの楽しみ方をご紹介させていただきました。

FaN Week 2026 特設HP(https://fan-week.jp/2026/)
※各展示によって会期や休館日が異なりますので詳細はHPをご確認ください。

(アートのまちづくり推進担当 松本哲哉)

事業管理係

来館者アンケートについて

みなさん、こんにちは。
美術館で事務経理を担当している、事業管理課の木村です。

私は学芸員ではなく事務職として勤務しており、昨年の人事異動で福岡市美術館に着任しました。美術についてはまだまだ勉強中の身ですので、「何について書こうかな…」と悩みましたが、今回は先日実施した来館者アンケートについてご紹介したいと思います。

福岡市美術館は公立美術館として、皆さまの税金によって運営されています。そのため、美術館の取り組みをどれくらい楽しんでいただけているのか、改善すべき点はないかなどを調査し、より良い運営につなげていくことも大切な役割の一つです。

今回のアンケートでは、主に次の4項目についてお聞きしました。

1. 近現代美術室「コレクションハイライト2026-27」の展示空間の刷新について
2. 美術館夜間開館の利用状況
3. 美術館Wi-Fiの利用状況
4. 音声ガイドの利用状況

アンケートは8月下旬の約1週間実施し、約400件もの回答をいただきました。ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

回答いただいた方々のお住まいを伺ったところ、福岡市外の国内在住の方が最も多く、海外からお越しの方や福岡市内にお住まいの方からも多くのご回答をいただきました。
福岡市の観光の一つとして福岡市美術館を選んでいただいていることがうかがえ、大変うれしく感じています。

今回は、アンケート結果の中でも特に印象的だった「コレクションハイライト2026-27」の展示空間についてご紹介します。

 

「コレクションハイライト2026-27」展示室入口

2階近現代美術室の展示空間については、なんと98%の方から「とても満足」「満足」との回答をいただきました。

満足いただけた理由としては、

・作品鑑賞に集中できた
・展示空間そのものを視覚的に楽しめた
・展示テーマが伝わりやすかった

といったご意見が多く寄せられました。

そのほかにも、「こんな作品を見てみたい」「こうした特集があると面白そう」といったご意見も多数いただきました。今後の展覧会や事業を検討するうえで、大変参考になる貴重なご意見ばかりでした。

今回アンケートを担当して改めて感じたのは、美術館は多くの方々のご支援と関心によって支えられているということです。
これからも、皆さまにとって親しみやすく、何度でも訪れたくなるような美術館を目指してまいります。

今後とも福岡市美術館をよろしくお願いいたします。

アンケート期間中設置したボード

(事業管理課 木村)

学芸課長ブログ
コレクション展 古美術

「創造」って何だろう…

古美術企画展示室で「模倣と創造」展を開催中です(9/27まで)。

福岡市美術館に収蔵される古美術資料の中から、ある作品と、それを造形する上での手本(モデル)や、何らかの参考にされたことを示唆する作品、あるいは祖型として見なし得る作品を並べて展示しています。古代から近世・近代にいたる東洋の陶磁、絵画、書跡など11組(25点)の作品を選びました。それぞれ新旧の作品を見比べて、模倣的要素と創造的要素(あるいは伝統的要素と革新的要素)の境界をさぐってみようという試みです。それは、連綿と続いてきたカタチの継承にあって、新しく生まれる作品の創造性(革新性)とはどういうものなのかに否応なく着目することにもなります。

「模倣と創造」展示解説リーフレット

このささやかな企画は、10年以上前から何となくやってみたいな、と思っていました。きっかけといえば、古美術コレクションの代表格である重要文化財・野々村仁清作《色絵吉野山図茶壷》(松永コレクション)と、その器形のモデルとなったルソン壷(安土桃山時代を中心に南方から海を渡って伝来した四耳壷で、当館では数点所蔵されている)を並べてみたいと思ったことです。ほかには宮本武蔵《布袋見闘鶏図》(松永コレクション)と、その画題(図案)の祖型にあたる伝・梁楷《鶏骨図》をはじめ、いくつか同様に並べてみると面白い作品はあったものの、300平米の一室を埋めるほどの点数が揃わずにいました。

しかし寄贈を中心に当館の古美術資料は拡充を続け、新旧の影響関係でつながる作品の収蔵例が増えました。さらに2019年のリニューアルオープンにあたり古美術企画展示室には間仕切り可動壁が採用され、空間をフレキシブルに活用できるようになったことで、ひとつの企画的展示として開催できる運びとなったわけです。

所蔵品のみでこうした展示を開催できるというのは稀なことです。貴重な美術品をご寄贈下さった方々に、改めまして深甚の謝意を申し上げます。

かくして、いつも松永記念館室の専用展示ケースに陳列している《色絵吉野山茶壷》は古美術企画展示室に移し、本展のトップバッターとしてルソン壷と隣り合って展示されています。11組はいずれも、先に新しい作品、次にその基となる古い作品という並べ方としています。じっくりと新旧の作品を見比べていただき、際立って見えてくる同異点を、解説文を参考にしながら確認し、あとは自由に鑑賞していただければと思います。

「模倣と創造」展 会場風景

「模倣と創造」展 会場風景

(学芸課長 後藤 恒)

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