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総館長ブログ

ヒゲのある江戸兵衛とおいしい赤富士

どーも。館長の中山です。大浮世絵展、もうご覧になりましたか?

会場で写楽の「江戸兵衛」がふたつ並んでいるのを見て少々驚きました。同じものが2点展示されているからではありません(2点のうち1点は2月16日までの展示)。両方ともにアゴヒゲの剃り跡があったからです。え、こんなのあったっけ?ネットで検索して出てくる「写楽 江戸兵衛」の作品写真には…やっぱりありません。シェーバーのコマーシャルみたいに、みんなつるつるなんです。偽物?そんなわけありません。

大浮世絵展監修者の浅野秀剛さんによれば、「これ、世界第一位と第二位の江戸兵衛だ」ということになるそう。両方とも海外のミュージアムから借用したものですが、1点はかつて国立博物館で開催された大規模な写楽展でも貸してもらえなかったものらしいです。つまり2点とも、アゴヒゲの剃り跡まできれいに見えるほど状態がよい作品なのです。最初に調査したとき、あんまりきれいなので本物かどうかを見極めるのに時間がかかったほどだったと浅野さん。

錦絵は版画ですから、世界に同じものがいくつもある。しかし、厳密にいえば摺られた時期が違ったり、版が変えられていたり、色あせていたりと状態は千差万別。極端な場合、同じ本物の広重の東海道五十三次(保永堂版)「日本橋」でも、描かれている人物の数が全然違ったり、北斎の赤富士では初摺で状態のいいものはピンク色だったりします。今回の展覧会、特に歌麿と写楽の作品は超のつく一級品ばかりで、「こんなにきれいなんだ」と思わずつぶやいてしまいました。

そして、目につく超一級品はどれも海外から借用したものばかりなんです。国内にある状態のよい作品も、大半は海外から買い戻したものだとか。ちょっとしたお小遣いで江戸庶民が買って楽しんだ浮世絵でしたから、明治、大正期にはあんなもの美術じゃないというのが国内の常識でした。それがいろんな国で大切に保存され伝わってきたのですから感謝しなければいけません。また、保存という点で浮世絵は非常に褪色しやすい絵画ですから、未来の人たちにも楽しんでもらうため、厳しい展示制限もやむなしです。

そうそう、大浮世絵展に来られたお客様は、おいしい赤富士を食べることもできますよ。ストロベリーアイスの赤富士を一生懸命ほじくりながら食べ進むと、地下から生イチゴやら白玉やら餡子やらフレークやら抹茶やらの溶岩があふれだしてきて、口の中が大爆発するほどの活火山。この絶品「赤富士パフェ」、北斎先生に食べさせてみたいなあ。

(館長 中山喜一朗)

赤富士パフェ(福岡市美術館のレストランとカフェで販売中)

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孤独なグルメのお客様が来館

どーも。館長の中山です。新年あけましておめでとうございます。コトヨロです。

年末にうれしいゲストをお迎えしたのでご報告します。輸入雑貨商の井之頭五郎さんです。だれ?そのひと、という方もなかにはおられるでしょうが、わたしにとっては有名人なんです。というか、ご存じの方はとても多いと思います。

五郎さんは「孤独のグルメ」という人気TVドラマ(同名の漫画が原作)の主人公で、俳優の松重豊さんが演じていらっしゃる人物。なにしろ、こんなにおいしそうに食事をする人をほかに知りません。五郎さんは独身ですが、あんなにおいしそうに食べられると、食事を作った奥さんがいれば、それだけでとても幸せになれると確信するくらいのレベルです。それが井之頭五郎さんです。

どうして五郎さんが当館に来たかというと、「孤独のグルメ2019大晦日スペシャル~緊急指令!成田~福岡~釜山 弾丸出張編!」というやや長いタイトルの番組ロケで当館を使っていただいたからです。大濠公園から美術館に入ってこられるシーンや、私がいる部屋のすぐそばの廊下でのドラマシーンなど、半日をかけての撮影でした。ゲスト出演された宇梶剛士さんの大声(もちろん演技されてる)が聞こえてくるし、気になって気になって。仕事はちゃんとしましたけど。

撮影後、幸運にもご挨拶することができましたし、色紙にサインもしていただきました。五郎さんは見上げるほど背が高かったです。190センチくらいあるでしょうね。いま「松重さん」ではなく「五郎さん」と書いてしまいましたが、スタッフさんたちもみな「松重さん」ではなく「五郎さん」と呼ばれているし、お会いした感じも、今日は一日五郎さんなのかなと思いました。普段の松重さんを知っているわけではありませんが。

というわけで大晦日の夜は楽しませていただきました。本編はネットで無料配信されているようですから、気になる方はチェックしてみてください。おいおい、年頭から美術に無関係の話かよって? まあたまにはこういう話題もお許しください。なにしろファンでしたので。今夜はおいしそうに夕飯を食べるぞ。

色紙のサインはもちろん松重豊さんです。

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愛称がほしいかも。えっ?私ではありません。

どーも。館長の中山です。11月13日に「福岡市制施行130周年記念式典」が市民会館で盛大に開催されました。そこで、来年の5~6月頃に当館の大濠公園に面した新しいアプローチに設置する大型の屋外彫刻作品について、デザインを発表させていただきました。ナイジェリア系英国人の現代作家インカ・ショニバレCBE氏による《ウィンド・スカルプチャー(SG)Ⅱ》という作品です。

「福岡市美術館に作品を設置したイメージはこのようになります」

とスライドをお見せすると、会場から「おお!」という声がいくつも聞こえました。「なんだ、こんなものか」という意味の「おお!」ではなかったと思います。つまり「おお(すごいな)!」とか、「おお(けっこういいかも)!」だったと確信しています。

当サイトのトップページからリンクしているプレスリリースにも載せていますが、式典でお見せしたのはこんなイメージです。

いかがですか。新しいアプローチにはカフェもあって広々していますが、なんとなくどこか物足りないな、なんて感じていた方もいらっしゃるのではないかと。そこにこれがドーンとお目見えします。いいでしょ。いいでしょ。

でも《ウィンド・スカルプチャー(SG)Ⅱ》というタイトルはちょっと長いですかね。覚えにくいかな。みんなが得意の《ウイスカ》なんて短縮もあるかもしれませんが、なにか愛称みたいなものが欲しい気がします。そうすれば、その愛称の後ろに「〇〇広場」とか「〇〇アプローチ」みたいに場所も呼びやすくなるような気もするし。

そんなことより、館長なんだからこの作品を詳しく解説しろって?言い忘れてました。11月30日には当館の40周年記念シンポジウムがあります。ズバリ「インカ・ショニバレCBEのパブリックアートと福岡」という内容です。まだ席に余裕があるようですから、ぜひご参加いただければ、誰よりもツウになれると思います。

来年の夏、「〇〇広場で待ち合わせね」なんていうセリフでラインが賑わうのを夢見ています。

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