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はじめまして。旅行記的自己紹介

神の川から福の岡へ

はじめまして。9月より近現代美術の学芸員に着任しました、加藤と申します。
神奈川県出身の私はこの夏、縁もゆかりも無い福岡に突然やってきました。これまでは東京の某女子大学の美学美術史学科で学び、大学院ではエドヴァルド・ムンクが描いたオスロ大学アウラ講堂壁画を研究し、修士論文を書きました。その間、美術館の教育普及にも関心を持ち、都内2館でのインターンや神奈川県の美術館で非常勤学芸員として教育普及の経験を積みつつ、国内外の美術館が発行する教育普及グッズを収集・分析していました。

神奈川から福岡、神の川から福の岡へ。うむ、なんだか縁起が良い!(“かみ”「なし」では?とか、ここで難しい話はとやかく突っ込まないでくださいね。) 土地に呼ばれているのかも、、、。

 

私の珍道中紹介

専門分野というと西洋をはじめ海外の美術が好きで、ギリシャ、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、オーストリア、ノルウェー、韓国、台湾、ニューヨーク、、、と、たまに外国に行っては怒涛の過密スケジュールで美術館やアート系のスポットを巡りまくるという弾丸旅行をしています。一度の旅で、だいたい一週間から二週間くらいの日数をかけ、複数の都市に滞在します。一人旅も多く、珍道中を重ねるごとに、非常事態が起きても持ち物の中で使えそうなものを組み合わせてサバイブする対応力や、人情か欺罔かの肌感覚、洗濯の効率、ちょうど良いパッキング量などが身についてきました。

美術館という職場でせっかくいただいた初めての公式ブログ執筆の機会なのですが、初めてだからこそ、美術と関係ないことを自己紹介と称して書けるのは今のうちかもしれません。誰かに言いたい私の珍道中9選、この場をお借りして紹介させてください。

①ミラノのホテルで深夜に蟻が大量発生した事件。フロントスタッフは大したことないと言わんばかりにまじめに取合ってくれず、強力白濁スプレーを借りたものの異臭を放つので部屋を開ける時にしか使えないと言われ、たまたま持っていたハッカスプレーを撒き散らし太いマスキングテープを床と壁の境目に張り巡らして蟻を収めたこと。(建物の木が腐っていると推測)

② パリのホテルにて、変圧器だと思っていた器具がただのプラグ変換器で、持参したドライヤーを差したら送風口から火が出たこと。

③ 同じくパリ。同室の3人でトーク中に私のベッドが傾いたプチ事件。ホテルの適当さに腹を立ててくれた添乗員さんがホテルマンと口論の末、「ロックして平気だから乗ってみろ」と言われるや否や私のベッドの上で膝を曲げるくらい思い切りジャンプを繰り返し、取り囲む皆が引き気味で見守った深夜のできごと。

④ノルウェー調査旅行への道中、トランジットのアムステルダムでスマホを紛失。捜索やら届け出やら何やら右往左往して汗と冷や汗が入り交じり、そのままオランダ航空に乗り込むと意外や意外アットホームな雰囲気。席を順繰りに回されていくパイロット帽をせっかくだからと被り、困惑顔で自撮りしたこと。スマホは結局戻らず、旅は続行。たまたま持ってきた予備のご機嫌斜めな古いスマホでかろうじて撮影は可能に。

⑤ノルウェーの港町オースゴールストランのムンクの家の前でノルウェー人と運命の出会いを果たし、北欧の太陽光と初夏の爽やかな風に包まれ、めくるめく白夜を過ごしたこと。(※調査はきちんと終えました)

⑥ ノルウェーの港町ベルゲンのフロイエン山で、フィヨルドと街と霧と太陽が織りなすこの世のものとは思えない絶景に感動し、身をもって北欧の神秘を感じたこと。

⑦ 帰りのオランダ航空で珍しく貧血(?)で倒れ、床に寝かされてCAさんたちが口にコーラとコーラ味のグミを突っ込んでくれ、いつかずっと聞いてみたかった「どなたか医療関係者はいらっしゃいませんか~?」のセリフを当事者として朦朧と聞いたこと。その後、アムステルダムの空港の病院に連れていかれて陽気な検査と脳神経外科風の診察を受けるというレアな体験をし、ダッシュで搭乗口へ。

⑧ ベルリンで、地下の水回りが臭う綺麗でないカプセルホテルに泊まったり、別れを惜しむ涙のハグを横目にミュンヘンまで長距離夜行バスに乗ったりと、ちょっぴり寂しい過酷な日もあったこと。

⑨ ドイツの田舎町のだだっ広い草原と青空に挟まれた一本道を、ドイツ人友だちの車でウィーンへ飛ばしてもらった青春の晩夏。道中、合唱したりアウトバーンを時速130キロで走ったり、迷子になって牛に道をふさがれたりしたのも良い思い出。

などなど、どれも「なんだこれ?(笑)」という思い出ばかりですが、一つでも多くの作品を見よう、ここでしかできない体験をしようと、食事もそこそこにパンを齧りながら汗だく&がむしゃらに歩き回る冒険の中で、こうした様々な可笑しいできごとがありました。そして、すべて人の温かさがどこかに感じられるエピソードなのです。どれも小さいけれど、振り返れば、輝くお宝のような経験です。

福岡に住み、福岡の街を探検し、また福岡市美術館で働くなかでも、これからたくさんの面白いことや大変なことがあると思います。その経験一粒一粒が自分を成長させ、振り返る頃には納得のいく学芸員になれていたらいいな、と想像する今日この頃です。

 

旅は道ずれ

もちろん、福岡に来た目的は旅行ではなく美術館で働くため。関東から持ってきた自前の物だけでなく、どんどん学び吸収して新しいアイテムを加え、引き出しの多い学芸員になれるよう一生懸命努めてまいります。
旅は道ずれ世は情け、と言っては新人の分際で太々しいでしょうか(笑)。弱冠25歳、どうぞ、皆さま温かく見守っていただけますと幸いです。
季節の変わり目ですのでご自愛くださいませ🌿

 

(学芸員 近現代美術係 加藤優奈)

KLMオランダ航空パイロットフライトキャップ

ドイツの田舎道で牛に遭遇

 

 

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