2021年2月10日 09:02
門田コレクションを初めて知ったのは2016年の4月初旬、当館ボランティアさんからの一本の電話からでした。「知人が中国陶磁コレクションの寄贈先を探しており、福岡市美術館も候補に入っています。取り次ぎましょうか?」というお話で、コレクターのお名前は「門田敏郎さん」と。
どうも初めて聞くお名前ではないような気がして、名刺の綴りをめくり、めくり、見つけました。さかのぼること6年前、間接的に名刺をいただいていました。当館で初めてまとまった中国陶磁コレクションを寄贈して下さった森田暁さんのコレクションをお披露目する展覧会(「森田コレクション 中国陶磁の5000年」展)を、2010年に開催しました。門田さんは同展に来られ、あいにく当日は私が不在でしたが、受付に名刺を託けてゆかれたのです。名刺には陶磁研究家としての肩書しか書かれていませんでしたが、その方が、あの有名な老舗提灯店の店主だということは、ボランティアさんからの電話で初めて知りました。そして、ご体調が思わしくなく、入院中であるということも。
2日後、貸倉庫に保管されるコレクションを拝見しました。六畳ほどの室にテトリスのようにビッシリと詰め込まれた箱の数々。ご家族の案内で、門田さんが作成されたコレクションの写真リストをめくりながら一点一点、箱を開けて中身を拝見。古くは新石器時代の彩文土器から明の景徳鎮窯の染付磁器まで、4000年の中国陶磁の歴史を照らしだすかのような幅広い内容構成に驚きました。とてもその日に全点は見られませんでしたが、これはただならぬコレクションだとわかり、寄贈を前提とした調査のため一括寄託を受けることとしました。

貸倉庫内の門田コレクション 2016年4月

門田さん作成の写真付きリスト
病床にご挨拶に上がった時は緊張しましたが、門田さんは言葉を発することも不自由なご容態の中、「よろしく」と私の右手を力強く握って下さり、胸が熱くなりました。永眠される3週間前のことでした。
11月、門田コレクションは美術資料収集審査を通過し、151件の作品が正式に福岡市美術館へ寄贈されました。当館はリニューアルのため長期休館に入ったばかりの頃でした。それから2年半もの間、コレクションは工事中の館内の館内収蔵庫に安置されたまま、展示室という表舞台に立つ日を静かに待ち続けていました。そしてこの度、満を持して、新しくなった展示室にてコレクションの全容を一挙公開する展覧会の開催となりました。
開幕前日の夜、私にはリニューアル開館後もっともハードとなった展示作業が無事に終わり、壮観な室内をグルリと一点一点最終チェックをしながら、門田さんへの敬意と感謝の気持ちを改めてかみしめました。


図録も発行しました。『福岡市美術館所蔵品目録 門田コレクション』、門田コレクションの美術資料総目録(オールカラー)です。
展覧会ポスター・チラシとともにデザインをお願いしたのは、グラフィックデザイナーの松浦佳菜子さん。赤を基調とするのは、そう、提灯に由来するもの。「シンプルに。でも存在感が際立つものがいいなぁ~」という私の漠然とした希望に対し、松浦さんは何度も提灯店に足を運んではイメージを膨らませて製作に臨み、素晴らしいデザインを作って下さいました。
全点について底裏もしくは背面の図版も載せ、器物には全て重量も記載しました。作品を手にとってグルグル回しながら、底を見たり、背面を見たり、重みも感じながら鑑賞している気分になる、そんな図録になればいいなと思い、編集しました。


展覧会は4月11日(日)まで。ご来場お待ちしております。
(主任学芸主事 古美術担当 後藤 恒 )
2021年2月4日 10:02

「テグス張り講座」を受けるこぶうしくん
みなさん、こんにちは。ボクは福岡市美術館のこぶうしくんです。今年は丑年だしいっぱい活躍するつもりだよ〜。

ボクは1月末に「テグス張り講座」を受けました。金槌や釘を見て何か工作をするのだとわくわくするボク。
あれ?・・・ところで、”テグス張り”ってなぁに?
さっそく講師のG学芸員に聞いてみました。
G学芸員
「テグスは魚釣りにも使っているナイロンなどの合成繊維でつくられた糸だよ。美術館では作品を展示するとき、作品の転倒を防ぐためにこのテグスを作品に張るんだ。今日はこのテグス張りの技術を学ぶための講座だよ。」
なるほど〜。言われてみれば、展示室をお散歩しているときにお皿や壺の作品に張ってあったような気がする。

テグスを張って展示されている作品
テグスがピンッと張っていて、無駄がないなぁ。作品をみるときに邪魔にならないようきれいに張ってある。これがテグス張りの技かぁ。ボクもやってみたい!
G学芸員がひとつひとつ説明しながら実際に手を動かしてやってみせてくれました。

※作品はもちろん本物…ではなく、練習なので黒楽茶碗 銘「次郎坊」のレプリカだよ。
展示替え当日にテグス張りをすることになっているM学芸員は、とっても真剣な面持ちでG学芸員の手元を見つめています。
説明をきいてから各自で実際にテグス張りをやってみました。
もくもくと手を動かしてG学芸員のようにやってみます。わからないところを聞くとすぐに教えてもらえました。とっても頼もしいG学芸員。
教えてもらったテグス張りの手順を書いておきます。
<準備するもの>
練習用の作品(コップやお皿)・練習台(木の板)・マスキングテープ・釘・テグス・チューブ・金槌・ハサミ
作品の位置を決めたらマスキングテープで見当をつけて、作品を囲んで均等になるように定規を使って4箇所釘を打つ場所を決めます。

決まったら作品を台から降ろして安全な場所へ移動させておきます。
金槌で釘の頭が数ミリ出ているくらいまで打ち込みます。

そしてテグスの登場!
左上の釘にテグスを結びカットしたチューブを2本通しておきます。作品を定位置に置いてたわみをつくり右隣りの釘に結びます。

同じように、左下の釘にテグスを結びチューブを2本通します。上側のテグスと交差するようにまわして通し右下の釘に結びます。チューブは4つとも作品に当たる部分に移動させておきます。
微調整をして、マスキングテープを慎重にはがし、余ったテグスをハサミで切ったら…完成~!

G学芸員に褒められたよ、やったぁ~!
うーん、でもやっぱりまだまだ難しいなぁ。時間もすごくかかっちゃうし全然テグスの張りが均一にならない。上手な人がすると全部同じ強さで張ることができるんだって。やっぱり磨かれたプロの技なんだなあ。
プロの技はここでみれるよ→スゴ腕! やきもの転倒防止・テグス張りの技 Marvelous! Technique of Fixing Potteries with Nylon Strings
実はこのテグス張り講座は、2月2日から開催の展覧会「門田コレクション 中国陶磁4000年の旅」(~4月11日)に合わせて実施された内々の特訓講座だったんです。
今回の展覧会では陶磁器の作品がおよそ150点もあって、そのほとんどにテグス張りがされています。展示替え当日は学芸員と美術品専門スタッフの総勢8人掛かりでひたすらテグス張り…、猫の手じゃなく牛の手も借りたいほどの忙しさでした。でも無事に展覧会初日を迎えて、たくさんのひとが展覧会をみにきてくれました。

ぜひ、このブログを読んだからには、作品だけじゃなくテグス張りにも注目してみてみてね。
え?もう展覧会を見てしまったのにテグスは全然見てなかった?それはとても嬉しい言葉です。だって、気づかないほどきれいなテグス張りだったってことだから。よーし、ボクももっと上手くテグスを張れるようにがんばるぞ〜。
こぶうしくん(代筆:教育普及係 上野真歩)
【御礼】
先日インターネットミュージアムにて行われた「ミュージアム 干支コレクション アワード2021牛」にてコブウシ土偶(古代オリエント博物館よりエントリー)が2位となりました!応援コメントには当館のこぶうしくん宛てかと思われるメッセージも多数あり、スタッフ一同感謝感激しております。今後とも、こぶうしくんをよろしくお願いいたします!
2021年1月29日 09:01

「あの人の作品は持っとうと?」
「あの作品の名前なんやっけ?」
お困りですか。所蔵品のお問い合わせはよくあるんです。「所蔵品検索」を使って、すぐに解決できますよ!当館のウェブサイトには、いつでも、どなたでも1万6000点を越える所蔵品を様々な条件で検索できる「所蔵品検索」機能があります。すごく便利なんです。でも、 展覧会と違って注目されないので、なかなか気づいてもらえません。
「そんなに便利な機能なら、はよ、知りたかったー。どうやってやるん。」
検索してくれるんですか。うれしい!では、まずトップ画面の太字「コレクション」にカーソルを合わせて、「所蔵品検索」をクリックすると検索画面が出てきます。

「どんな作品かは思い出せるんやけど、作品名が分からーん。」
よくありますよね。作家名や作品名、どちらも分からなくて大丈夫です。例えば、古美術を選択し、何も入力せずに青い検索ボタンをクリックします。


作品画像がずらっと並んで表示されましたか。すてきでしょ。当館の古美術の所蔵品が一度に検索できました。気になる作品をクリックすると、作家名や作品名のほかに、サイズや素材も分かります。例えば気になる作家を見つけたら、今度はその作家名を条件に入れて検索してみてください。すると、どんな作品を何点所蔵しているのかが分かります。近現代美術も同じ方法で検索可能ですが、色々とややこしいのでやめておきましょう。
「なんなん。気になるやん。」


「近現代美術は何ももってないやん。でもこの前、展示室でシャガール見たばい。」
この画面、しーんとしていますが作品はあるんです。当館ではシャガールの作品を確かに所蔵しています。古美術と違って画像が表示されないので、作品がないといつも疑われますが、「該当する所蔵品が見つかりませんでした。」と表示されない限り、所蔵しています。
「なんで画像が入ってないとよ。作品名だけじゃどんな作品か分からんやん。」
おっしゃり通りです。でも、著作物は著作者の死後70年まで保護されているため、画像によっては、著作権法の制約を受けて公開できません。
「どうにかならんと?また疑われ続けるばい。もったいない。作品画像があるだけで、もっと検索してくれる人ふえるんやないん?」
そんな心配してくれて、ありがとうございます。私の力ではどうにもならないと言い訳してきた毎日でしたが、実は平成30年5月25日に、「著作権法の一部を改正する法律」が公布され、32,400画素以下の画像(サムネイル画像)であれば著作(権)者の許諾がなくても作品画像をウェブ上に公開できるようになりました!ちなみに、サムネイル画像はだいたい長辺が5センチくらいの小さな画像です。
「ちっちゃいわ!まあ、無いよりましか。」
私もそう信じています。サムネイル画像は作品の色や質感を忠実に伝えるものではありませんが、図柄や色を確認するのにはきっとお役に立てるはず。
「だんだん作家名を思い出してきた!検索してみよっと。」
今までの努力が報われます。只今、パーフェクトな所蔵品検索ページを目指して作業に没頭中です。一日も早く皆さんに、当館の近現代美術作品を知っていただきたいと思い、これまでに作品画像、約1,500点を毎日コツコツ、サムネイルにしてきました。来週2月5日(金)、ついに1,500点の作品画像を公開します!今後もコツコツ作業を続けて、作品画像をまとめて公開いたします。まずは2月5日の画像公開をお楽しみに!!

(学芸員 臨時職員 川人未来)